西播

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希少なベニコンゴウインコ(中央)とルリコンゴウインコ(右)=相生市竜泉町、こんぱまる相生店
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希少なベニコンゴウインコ(中央)とルリコンゴウインコ(右)=相生市竜泉町、こんぱまる相生店
ピンクが美しいクルマサカオウム
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ピンクが美しいクルマサカオウム
さまざまな種類のオカメインコが集まる繁殖施設
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さまざまな種類のオカメインコが集まる繁殖施設

 兵庫県相生市竜泉町にインコ、オウムの専門店「こんぱまる」がある。東京をはじめ、横浜、名古屋、京都、大阪、福岡などと全国13店舗を展開する、鳥専門ペットショップの発祥の地だ。県西部の3万人都市になぜ、各地の愛鳥家が集う専門店ができたのだろう。繁殖施設を併設し、希少な約100種、約600羽を飼育する相生店を訪ねた。(伊藤大介)

■相生店では希少な100種、600羽を飼育

 国道2号線沿いの山の中腹に店はある。近くに人家はなく、JR相生駅からは徒歩20分。便利な立地とは言えないが、週末になれば関西一円や中国、四国地方から愛鳥家が訪れる。

 引き戸を開けると、「ピィピィ」「ガァーガァー」と鳥の鳴き声に包まれた。色鮮やかなインコやオウムのケージが並び、体長15センチのセキセイインコから、約90センチのベニコンゴウインコまで色も姿も多種多様だ。

 真っ赤なベニコンゴウインコは95万円。「年々値段が上がって東京だと100万円を超えます」と店長の新井奈奈さん(42)。腕に乗せてもらうと鋭い爪でぐっと挟まれた。顔を引きつらせると「腕をこわばらせると、インコも緊張して強くつかんじゃうんです」。ピンク色のクルマサカオウムは120万円。高価な希少種を取り扱うため、経験と飼育技術が求められる。

 中型、大型インコを飼う広島県庄原市の男性(61)は、注文した餌を取りに来店した。「これだけ詳しい鳥の専門店は広島にない」と信頼を寄せる。

     ◇     ◇

 こんぱまる相生店は1997年春、現ゼネラルマネジャーの星野太昭さん(53)が開業した。店名は、人に寄り添うコンパニオンアニマル(伴侶動物)という言葉に由来する。

 大阪市出身の星野さんは小学生時代に大型オウムを飼い始めて以来、無類の鳥好き。20代半ばで相生市に転居し、働きながら数羽育てていたが、「もっとたくさん鳥を飼いたい。プロのトレーニング技術を身に付けたい」との思いが募り、「個人で飼うのは数に限界がある」と31歳で全国的にも珍しい鳥専門店創業を思い立った。

 うどん屋を改装した、8坪からスタートした。星野さんは自身の経験に海外の知見も取り入れ、独自の飼育ノウハウを開発。ひなから育て上げる技術が評判を呼び、相生店は数年で70坪、120坪と規模を拡大した。大阪店、上野店(東京)、名古屋店と店舗を増やし、東は千葉県、西は福岡県まで13店舗に広がった。

 星野さんは「もうけようと思って始めたわけでなかった。こんなに広げられるとは…」と話していた。

■繁殖は専用施設

 繁殖施設を備えた相生店は他店と趣が異なる。「ペットの鳥と、繁殖するつがいは扱いが異なります」と新井店長。人に遊んでほしくて、抱卵や子育てを放棄する場合などがあるため、つがいは客と触れ合わない専用の禽舎(きんしゃ)へ移す。

 交尾がうまくいった後も産卵まで様子を目配りし、ひながかえってからは数時間おきにつきっきりで餌を与える。営業時間は午後1~5時、土日は午後1~6時と短いが、スタッフ4人は朝から600羽の餌やり、禽舎の掃除、ホームページの更新などにせわしなく働きつつ、客が持ち込む鳥の爪切りや健康相談に対応する。

 飼育ノウハウはそれぞれ異なり、若手スタッフの手の甲や前腕は鳥のひっかき傷が絶えない。「それでもかわいいんですよね」と新井店長は笑みを浮かべる。

■映画やテレビでも引っ張りだこ

 育てた鳥は、愛鳥家だけでなく、テレビ番組や映画、CMの引き合いも多い。6月に劇場公開された映画「ザ・ファブル」では、主演の岡田准一さんがかわいがるペットとしてナナイロメキシコインコが出演した。「頭などに乗せても役者さんをかまないことが条件だったので、原作の漫画とは異なるおとなしい鳥を紹介しました」と星野さん。

 テレビでは「マツコの知らない世界」「笑っていいとも!」などに飼育する鳥を送り出しており、「鳥が飼いやすく、親しみやすい動物と知ってもらえたら」という願いを込める。

   ◇

 こんぱまる相生店TEL0791・22・4770

■記者コラム

 相生店を案内してもらった時、新井店長がケージから1羽のオカメインコを取り出した。脚が変形している。「この子は脚に障害があり、止まり木に移れないんです」。脊椎が曲がっていたり、治らない病気があったり、動物を扱う業種では避けられない課題だ。

 障害のある鳥でも、スタッフが引き取り、プライベートで飼うケースがある。「手間がかかる分、情が湧いて迎えちゃう」という女性スタッフはペットの13羽中、3羽に障害がある。休日も世話に追われるため、入社21年の新井店長は「遠出の旅行なんてしたことがない」と苦笑する。

 仕事を超えた愛情と責任感。オカメインコは新井店長が引き取ることになりそうだ。

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