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「女権」の復刻を進めた文中さん(前列左)をはじめ、かたの会のメンバーら=たつの市龍野町富永
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「女権」の復刻を進めた文中さん(前列左)をはじめ、かたの会のメンバーら=たつの市龍野町富永
「女権」創刊号の表紙。実物は鳥取県立博物館に1冊が残されているだけという(かたの会提供)
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「女権」創刊号の表紙。実物は鳥取県立博物館に1冊が残されているだけという(かたの会提供)

 兵庫県たつの市出身の詩人三木露風の実母で女性運動家の碧川かた(1872~1962年)が昭和初期に発行した「女権」創刊号が、現代仮名遣い版で復刻された。かたの生涯のドラマ化を目指し活動する市民団体メンバーらが編集した。男女同権を訴え、慣習のゆがみを指弾する文面には、社会の変革に注ぐ女性たちの真っすぐな情熱が刻まれる。

 かたは鳥取池田藩の家老家に生まれた。16歳で龍野の三木家に嫁ぎ、2児をもうけるが、5歳の露風を残して離婚。後に東京で看護婦となり、新聞記者の碧川企救男と再婚した。その影響で女性参政権を求める運動などに取り組んだ。

 かたが組織した「女権擁護会」の機関誌でもあった月刊雑誌「女権」は1927(昭和2)年の創刊。25年には満25歳以上の男子のみに選挙権を認める普通選挙法が成立。かたは女性の参政権や公民権の獲得を目指す運動の先覚者だった。

 復刻版は「碧川かたを朝ドラの主人公にする会(かたの会)」の文中智子さん(72)=兵庫県宍粟市=が「かたの渾身の思いがこもった雑誌に光を当てたい」と発案。教員時代の同僚の手も借り、難読字は平仮名に直し、句読点を増やして注釈を入れるなど読みやすくした。露風を顕彰する霞城館(たつの市)と共同編集し、露風生誕130周年記念事業として同館が発行した。

 創刊号の執筆者には志を同じくする活動家ら13人が名を連ねた。この中でかたは「鐘は既に鳴れり なお目覚めざるか」と題した文を寄せ、女性への参政権の付与が世界で進む情勢を「黎明の鐘はとっくに世界に響いてしまった」と指摘。「私どもだけがなお惰眠を貪って(中略)自ら一大侮辱を感ずる」と憤り、同性の奮起を呼び掛ける。

 女権擁護会をともに興した鷲尾よし子は巻頭言で、性的差別に基づく不公平が家庭の不幸を招くと論じ、「家庭の拡大されたる国家は禍である」と断じた。

 同誌では女性参政権に賛同した尾崎行雄ら政治家の名簿を載せ、男性の理解者の広がりを強調。露風も「あたたかき心をもてるたらちねの母にはまことちからありけれ」と支援の思いを短歌に託した。

 文中さんは「苦難を乗り越えて生き抜く力に勇気づけられる人もいるだろう。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられたが、90年前の先人の果敢な闘いが今につながっていることを知ってほしい」と話す。

 300円。2千部印刷。霞城館TEL0791・63・2900

(松本茂祥)

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