西播

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最後の卒業生となった三河小の6年生たち=兵庫県佐用町上三河
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最後の卒業生となった三河小の6年生たち=兵庫県佐用町上三河

■歌舞伎や米作、地域と共に

 南北に流れる千種川沿いに、一面の田畑が広がる。見渡せば中国山地から連なる山々。豊かな自然に抱かれた三河小学校(兵庫県佐用町上三河)が今春、明治期から続く146年の歴史に幕を下ろし、南光小と統合した。

 2月の閉校記念行事には、300人を超える地域住民、卒業生が集まった。最後の校長となった古川光弘校長にとって、三河小は新米教師として7年間を過ごした“始まりの場所”でもあった。感謝の言葉に万感の思いがこもる。

 「未熟だった私を、当時の子どもたち、保護者の皆さん、地域の方々が成長させてくれた。三河小学校は『師』そのものです」

 あいさつを聞く住民らもまた、その思いを共有する。学校の歩みは常に地域とともにあった。三河小の児童らで1992(平成4)年に結成した「南光子ども歌舞伎クラブ」は、自治会が管理する国重要有形民俗文化財「上三河の舞台」を活用するようになった。運動会や校外学習は、地域のイベントそのものだった。

 住民に教わりながら、昔ながらのもち米作りにも取り組んだ。指導役を務めた三枝利夫さん(92)も同校の卒業生だ。34(昭和9)年の入学当時は「三河尋常高等小学校」の名で、400人近くの児童がいた。校舎の建て替えで、地域の集会所や農村舞台を教室代わりに使ったこともあった。

 ただ、高度成長の陰で地方は過疎化が進んだ。子どもの数は65年ごろから急速に減り始め、96(平成8)年には100人を切った。三枝さんが指導役を頼まれたのは、そんな時だった。

 種もみをまいて育てた苗を、5月末に植え付ける。秋には刈り取り、年末の餅つき大会で住民たちと分け合って食べた。活動を通じて、子どもたちは当たり前のように食べている米のありがたさを学んだ。「どの時代の子も真剣に取り組んでくれた。宝物のような思い出をくれた学校に感謝の気持ちでいっぱいです」と三枝さんは振り返る。

 記念行事には、三河を離れ神戸で働く井上愛夢美さん(24)、城内諒氏さん(24)も駆け付け、地元に残った友人の前川萌さん(24)と昔を懐かしんだ。

 「学校行事のおかげで卒業後もたまに集まることができた。田舎特有の濃い体験が皆の思い出になっているはず」と3人。人々の温かなつながりは、これからも三河の子どもたちの記憶に残り続ける。(勝浦美香)

     ◆

 少子化の影響で、中西播地域では今春、三つの小学校(佐用町2校、神河町1校)が閉校した。長く地域に根ざし、住民に親しまれた学びやの記録を刻みたい。

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