入手困難が長く続くマスク。医療用でさえも不足する。そんな中、兵庫県の西播磨の各市町には連日のように寄贈のマスクが届く。地元企業に住民グループ、さらには漫画タイガーマスクの主人公・伊達直人を名乗る男性からも。「困ったときはお互いさま」と支え合いの輪が広がっている。
■「故郷のために恩返し」 出身男性が役員務める財団法人
<<宍粟市へ>>
波賀町出身の会社役員、小倉基宏さん(42)が相談役を務める一般財団法人「ROYAL NIPPON(ロイヤル ニッポン)財団」(大阪市)が医療用マスク1万枚を届けた。
同財団は青少年の健全育成活動などに取り組んでおり、古里の子どもたちの役に立ちたいと寄贈を決めた。
市役所で福元晶三市長にマスクを手渡した小倉さんは「故郷のために恩返ししたかった。学校や病院で活用してほしい」と話した。(古根川淳也)
■「医療最前線の人思い」 化学メーカーダイセルの播磨工場
<<たつの市へ>>
化学メーカーダイセル(大阪市)の播磨工場(たつの市)が24日、同市にマスク2万枚を寄贈した。市役所を訪れた池田信彦工場長は「地域の皆さんや医療の最前線で働く人に思いを届けられたら」と述べ、目録を山本実市長に手渡した。
同社は昨年、創立100周年を迎えた。「地域の皆さんのおかげで形をなしてこられた」(池田工場長)として、地元で役立ててもらおうと、中国の現地法人を通じてマスクを調達した。市は学校や医療機関で使うという。
(段 貴則)
■「地元の力になりたい」 生コン協同組合
<<相生市へ>>
寄贈したのは大阪広域生コンクリート協同組合。同組合の兵庫西部事務所が相生市内にあり、「地元の力になりたい」と申し出た。
市役所を訪れた兵庫西部ブロック長の金海誠一さん(55)らは「十分な数ではないと思うが、福祉関係などに役立ててもらえれば」と千枚が入った箱を谷口芳紀市長に手渡した。同市は備蓄していたマスクを医療機関や福祉施設に配っており、残りは約2千枚。谷口市長は「調達も難しくなっており、ありがたい」と感謝した。
同組合はたつの市にも千枚を贈った。(伊藤大介)
■「市民を守る姿勢に感謝」 “伊達直人”名乗る男性
<<赤穂市へ>>
「コロナ対策に立ち向かいながら市民を守る姿勢に感謝申し上げます」。そんなメッセージとともに千枚を贈ったのは、伊達直人を名乗って姫路・西播の児童養護施設に善意を届け続けている男性。その姿勢はコロナ禍の中でも変わらず、相生、たつの両市にも寄贈した。
また、臨時休館中の温泉旅館・呑海楼(赤穂市御崎)は「過去に例のない危機に助け合いたい」と3千枚を、住友大阪セメント赤穂工場(同市折方)もN95規格のマスク240枚をそれぞれ赤穂市に贈った。
(坂本 勝)
■「できることをしよう」 町いずみ会
<<佐用町へ>>
特産品や食育の普及を進める町いずみ会は、地元の社会福祉協議会に手作りした50枚を寄せた。
同会は学校園での調理実習指導などに取り組む。緊急事態宣言で活動は中断しており、「何か地域のためにできることをしよう」と役員ら4人でマスクを手作りした。材料さえも入手困難となる中、さらし生地をアイロンやミシンで加工し、立体型に仕上げた。
「今後も材料が手に入れば追加で作りたい」と野村智里会長。同社協はボランティアスタッフたちにも使ってもらうつもりだ。(勝浦美香)
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