西播

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カカオバーガーとカカオソーダ=福崎町西田原
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カカオバーガーとカカオソーダ=福崎町西田原
麻袋に入り、カカオ豆の気持ちを想像する古井良平さん=福崎町西田原
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麻袋に入り、カカオ豆の気持ちを想像する古井良平さん=福崎町西田原
神戸新聞NEXT
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 兵庫県福崎町にいる「カカオマン」が「カカオバーガー」を作った-。何者!?。謎の男に関する情報を、インターネット上に見つけ、思わず食いついた。どうやら、男は神戸新聞神崎支局の近所に“出没”するらしい。謎の男の正体は? あま~いバーガーなのか? 確かめたいことは山ほどある。早速、現場に向かった。(井上太郎)

【1】こだわりのレシピ

 民俗学者柳田国男の生家があり、最近は不気味なかっぱ像で知られる辻川山公園(同町西田原)から、明治期の高速産業道路「銀の馬車道」沿いに歩くこと5分。国道312号との交差点に立つ、喫茶店「むのじじょう」に向かった。

 カラオケを備えた昭和レトロな店内に入ると、厨房(ちゅうぼう)にいる男性が威勢よく言った。

 「カカオバーガー、ありますよ」

 カカオマンとおぼしき声の主(ぬし)は、グレーの帽子を深めにかぶり、一口こんろでハンバーグを焼き始めた。ハンバーグは手ごねで、ふっくらしたパンも自家製。想像していたより、と書くと怒られそうだが、本格派だ。

 マスタードを塗ったパンにレタスを敷き、チェダーチーズを乗せたハンバーグを重ねる。至ってシンプルなチーズバーガーの仕上げに、チョコレート色のカカオソースがかかった。

 早速かぶりついた。ピリ辛だ。こちらは安直な発想で、お笑いタレントの井戸田潤さんの決めせりふ「あまぁ~い」「ハンバーーグ!」と叫ぶ準備をしていたが、すっかり当てが外れた。強いて例えるなら辛さ以外はデミグラスソース。肉のうま味としっかり合う。セットで提供された全然甘くない「カカオソーダ」でのどを潤して考えた。

 どれがカカオの味なんだろう-。

 カカオマンの答えは明快だった。「味はたぶん、してません」

 ソースの材料はトマト、玉ねぎ、ニンニク、唐辛子と4種類のスパイス。最後に、カレーのルウのようにチョコを溶かすと、コクが深まる。チョコはカカオ分100%で、砂糖は使わない。苦みが強い大人の味だ。ド直球の商品名ではあるものの、実は立派な隠し味になっている。

【2】その正体は

 謎の男・カカオマンの正体は、古井良平さん(46)。両親が営む「むのじじょう」で洋菓子を製造販売している。

 同県高砂市のケーキ店で約10年間修業して独立。6年ほど前からチョコレートを手掛けだした。「カカオはじゃじゃ馬」。扱いが難しい食材の奥深さに魅せられ、3年前には、独自ブランド「カカオマンズチョコレート」を立ち上げた。「カカオマン」を自称し、平均約1週間をかけたこだわりのチョコづくりに没頭。固定ファンも増えた。

 同時に、うすうす気付いてもいた。「このままだとカカオマンじゃなくて、チョコレートマンになる」。カカオ豆の可能性を探るという初心に返り、カカオバーガーの開発に至った、というわけだった。

 コロナ禍で外出自粛が続き、売り上げは大きく減った。苦境の中で試作し、完成させたのがカカオバーガー。予約販売を始めた古井さんは「真のカカオマンへの道はこれから」。挑戦は始まったばかりだ。

 カカオバーガーは750円、カカオソーダとセットで千円(いずれも税込み)。カカオマンズチョコレートTEL0790・22・0114

【3】全国では

 古井さんのように、カカオ豆の仕入れから焙煎(ばいせん)、成形までを一貫して手掛ける製品は「ビーントゥバーチョコレート」と呼ばれ、2000年代初頭に米国で発祥して世界中に広まった。

 香料や植物性油脂で甘く加工する製法が普及し、失われつつあるカカオ豆本来の風味に回帰しようというムーブメントで、日本国内でも10年ごろから専門店が増えている。

 日本チョコレート・ココア協会(東京)によると、ビーントゥバーのようにカカオをふんだんに使う「ハイカカオチョコレート」は大手の商品開発も盛んで市場をけん引している。

 ハイカカオの明確な定義はないが、カカオ分40~60%の「ビター」「ブラック」に対して業界ではおおむね、同70%以上のチョコレートを指す。カカオポリフェノールが心臓病のリスク低減や生活習慣病の予防に役立つという研究報告もあり、シニア層など「菓子というより、健康のために食べる」(同協会)需要が高まっているという。

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