西播

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 校歌を歌う14人の姿は、歩みを見詰めてきた記者にとっても込み上げる瞬間だった。夏の高校野球で16年ぶりの1勝を目指した上郡高(兵庫県上郡町)ナイン。校内で育てた米と卵で体を大きくし、猛練習を重ねる姿を連載「勝ちたいんや!」で紹介した。

 1年前、彼らを追い掛けるきっかけになった試合があった。秋季地区予選の1回戦だ。甲子園出場経験もある強豪・姫路工業と対戦し、四回を終えて0-6。休日に足を運んだものの「来るんじゃなかった」と後悔していた。

 ところが、ナインは誰一人として諦めていなかった。しぶとく打線をつなぎ、じわじわと追い上げて延長十回、7-6で競り勝った。正直、予想もしない逆転劇だった。

 聞けば、選手たちは3~4時間ノックを受け続け、素振りは1日3千回。とても弱小校の練習量ではない。「練習している分、ゲーム体力はあるんです。試合がもつれたらこっちのもの」と三輪剛大監督は言った。不器用だけど、ひたむき。「来年の夏は勝てるのでは」。思わず胸が高まり、取材が始まった。

     ◇

 初戦を突破したチームは勢いに乗った。2回戦では佐用を延長の末に1-0で破り、18年ぶりに3回戦へ進んだ。投打に押されながらワンチャンスをつかみ、大谷涼太主将は「持ち味の粘りを発揮できた」と誇らしげに語った。「歴史を変える」という“公約”を達成した自信がにじんでいた。

 上郡に限らず、少子化が進む山間部の高校は生徒数が減り、選手を9人そろえるのが難しくなっている。だから、勝てないのか、それでも、勝ちたいのか-。彼らの夏が、一つの答えを示したと思っている。(伊藤大介)

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