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伝説の千草鉄で鍛造した日本刀を手にする桔梗隼光さん=宍粟市千種町河呂、千種中学
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伝説の千草鉄で鍛造した日本刀を手にする桔梗隼光さん=宍粟市千種町河呂、千種中学

 名刀の産地・備前(岡山県)で鍛造された国宝や重要文化財の刀剣の多くに使われているとされながら、今では流通していない兵庫県宍粟市千種町産の鋼「千草鉄」を使った短刀(刃渡り23・3センチ)がこのほど、相生市の刀匠、桔梗隼光(ききょうはやみつ)さん(47)の手でよみがえった。千種中学の生徒がたたら製鉄の体験学習で造った鋼を利用したもので、日本刀として鍛造されるのは15年ぶり。同校で披露された刀を手にした生徒らは、刀身に浮かぶ粉雪のような模様を光にかざし、白く輝く美しさと重量感に息をのんでいた。(古根川淳也)

 千種町周辺では不純物が少ない良質の砂鉄が採れ、たたら製鉄で生産された鋼は「宍粟鉄」や「千草鉄」と呼ばれて備前の刀匠に好まれた。だが現在では千種中の生徒が造る以外、一部の刀匠が個人的に砂鉄を集めているだけだという。

 千種中では1997年から生徒が砂鉄を採取し、たたら製鉄の手法で鋼の原料となる「鉧(けら)」を造ってきた。歴代の鉧は同校に保管されていたが、製品化して学習に役立てようと、2018年に6年分77・9キロが住民グループを通じて桔梗さんに提供された。

 グループではこの鋼で造った小刀(刃渡り約6センチ)91本を販売。収益を炉の補修や木炭の購入費に充てる一方、教材として短刀の鍛造を依頼していた。

 入手困難な千草鉄で日本刀を鍛造するのは桔梗さんにとっても初めての経験。授業で造る鉧は小さいため、純度が高い「玉鋼(たまはがね)」の中に砂粒などが混入しやすく、刀身の表面に傷が出るなどの苦労もあったという。

 玉鋼を細かく割って不純物を徹底的に除去するなど作業を工夫。納得のいく刀ができるまで4本作り直し、1年4カ月かけてようやく納品にこぎつけた。

 刀身は鎌倉期の様式を模した造りで、「にえ」という模様が舞い散る粉雪のように浮かび、かすみのような刃文が刃先から根元まで伸びている。

 江戸時代の書物には千草鉄の特徴が「刃色白く細かに見ゆる」と書かれ、粘り強く折れにくい刀ができるとされている。実際に鍛造した桔梗さんは「明るめの色合いで模様が上品。粘りも強く、特徴は伝承の通り」と話す。

 同校で披露された刀身を手にした生徒会長の男子生徒(15)は、ずしりとした重量感に「すごい」と息をのみ「ただの鉄の塊だった鉧が、かっこいい刀になってうれしい。砂鉄採りから鍛造まで、関わった一人一人の思いがこの刀にこもっているのが伝わった」と感動していた。

 完成した刀は同校の授業に利用される。一般には非公開だが、展示の場を設ける予定だという。

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