西播

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朝風呂で身を清める様子を再現してくれた尾藤さん親子=福崎町西田原(撮影・小林良多)
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朝風呂で身を清める様子を再現してくれた尾藤さん親子=福崎町西田原(撮影・小林良多)

 寒さに耐え、海で、川で冷水を浴びる-。祭りの前に「身を清める」と聞くとついそんな激しい場面を想像してしまうが、兵庫県福崎町では穏やかに清めるこんな“流儀”があるらしい。(井上太郎)

 寝ぼけ眼をこすりながらパジャマを脱ぎ、父と息子2人が真っ赤な鉢巻きを締める。そのまま一斉に湯船に漬かり、静かに向き合うこと約10分。熱めの湯で身も心も温まったところで父が一言、「行こか」。短い合図が、ハレの日の到来を告げる。

 熊野神社(福崎町西田原)の氏子の男衆は秋祭り当日、身を清めて安全を祈願するため、自宅で朝風呂に漬かってから屋台蔵に集まる。

 市川東岸、旧田原村13集落の北端に広がる井ノ口地区。「井之口屋台保存会」会長で団体職員の尾藤(おふじ)準也さん(42)一家が再現してくれた「儀式代わり」の入浴は、「祭りモードに切り替える気持ちのスイッチ」としても欠かせないという。あくまで“儀式”とあって、漬かっている間は親子であっても会話を控える。

 尾藤家では少なくとも準也さんの曽祖父(そうそふ)がまだ幼かった明治前期から続く、祭り当日だけの朝風呂。同様の習わしは、辻川や吉田、八反田など周辺地区でも見られる。

 地元を流れる市川は古来暴れ川と恐れられ、海もない。そんな地理的制約なのか起源は不詳だが、風呂上がりに母や妻に火打ち石を打ってもらう▽入浴中にお神酒を飲む▽漬からずにおけで湯を浴びる-など、家庭によってさまざまな作法が残っている。

 準也さんは「新乗り子」として太鼓打ちに加わった小学2年生で朝風呂デビュー。「最初は『何でこんなことするんやろ』と不思議で、父に聞きましたよ」。湯気の向こうで父の表情が引き締まっていくにつれ、自然と気持ちが高ぶったのを覚えている。3年前、長男の大政君(9)=田原小4年=に同じことを尋ねられ、「こうやって受け継ぐんだなあと、なんかうれしかったね」と照れる。

 今年は次男の公紀君(7)=同1年=が新乗り子として太鼓を響かせるはずだった。屋台練りの中止を残念がるが、宵宮(10日)、本宮(11日)の朝風呂で「僕も仲間入りできる」のを心待ちにしている。

    ◇

【あなたの地域の「祭りの流儀」募集】神戸新聞姫路本社では、姫路・西播地域の秋祭りに関する皆さんのエピソードを募集します。その地域ならではの文化や風習、“流儀”を教えてください。内容と連絡先を書き、メール(himeji@kobe-np.co.jp)、ファクス(079・281・9277)、ツイッター(https://twitter.com/himeji_seiban)でお寄せください。

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