西播

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阪神タイガースの選手名やチームスローガン入りのタオルを手掛ける福本正利さん(左)と圭二さん=福崎町福田、ユニック
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阪神タイガースの選手名やチームスローガン入りのタオルを手掛ける福本正利さん(左)と圭二さん=福崎町福田、ユニック
守備時は首に巻いておける応援用タオル
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守備時は首に巻いておける応援用タオル
神戸新聞NEXT
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 コロナ禍で迎えた今年のプロ野球ペナントレースも大詰めだ。開幕当初、われら虎党は「試合が見られるだけで幸せ」と殊勝な思いだったが、阪神タイガースは宿敵巨人の独走を許す結果に。私も日々、大きなストレスを抱えてきただけに、兵庫県福崎町で40年来、球団の公式応援グッズを扱う老舗メーカーも、さぞやつらかろうと訪ねてみた。チームの低迷、観客数の制限など苦しいはずだが、どんなときもチームを、そしてファンを支えてきた歴史はだてじゃなかった。その奮闘ぶりに「阪神ファンの神髄」を見た。(井上太郎)

 メーカーの名は「ユニック」。JR福崎駅から徒歩5分、店舗や住宅が並ぶ一角に事務所を構える。「3 OHYAMA」「5 CHIKAMOTO」…。選手名のほか、チームスローガンやマスコットキャラクターをあしらったタオルを手掛け、甲子園球場(西宮市)や球団公認ショップ、自社の通販サイトで販売する。

 創業は1981年。社長の福本正利さん(70)は、ゴルフの記念品を販売していたが、間もなく知人の紹介で球団と取引を始めた。

 今なおファンが語り継ぐ85年シーズン。バックスクリーン3連発、21年ぶりのリーグ優勝、初の日本一に沸いたが、当時は応援グッズの種類が少なかった。選手別のグッズが普及したのは90年代に入ってから。新庄剛志、亀山努両外野手が台頭した「亀新フィーバー」(92年)あたりで潮目が変わったという。

 もともと選手名を書いた大きなプラカードをスタンドで掲げる応援に対し、球団は「他の客の邪魔になるので止めたがっていた」(福本さん)という。プラカード代わりになればと、選手名入りのマフラータオルを作ったところ、コンパクトで観戦マナーも改善し、球団のお墨付きで販売を拡大した。

 今やおなじみの、タオルを掲げた応援の先駆けだった福本さん。「試合そっちのけで客席を見てしまう。僕らが作ったタオルをみんな持っててね。商売冥利(みょうり)に尽きたなあ」

    ◇

 一方、チーム成績はいいときばかりではなかった。90年代、最下位がほぼ定位置の「暗黒時代」に。応援ボイコットが起こると、福本さんは、がらがらの客席を少しでも埋めるため、親族知人友人を100人規模で集めては、福崎から何度もバスを走らせた。

 阪神は2008年、2位に最大13ゲーム差をつけて首位を走ったが、大失速で歴史的V逸を喫した。優勝記念品を準備していたユニックは、行き場のない大量の在庫を抱えてしまった。

    ◇

 グッズの売れ行きは、およそチームの成績に連動する。加えて、かつて数社だけだったグッズ関連業者も年々増え、競争は激化の一途をたどる。

 厳しい世界だけに、タイガースの下請け業者でつくっていた「TH会」では他球団に“浮気”する業者も珍しくなかった。

 「いいときだけ付き合おうなんて甘い。ビジネスのようで根はファンと一緒。しんどいときも、ともに歩むから喜びも倍増する」

 暗黒時代も、15年間優勝から遠ざかる今も、虎一筋を貫く福本さんは、胸を張る。

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