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ライブを開く予定のギャラリーカフェ「ガレリア」で取材に応じる柴田まゆみさん=たつの市龍野町富永
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ライブを開く予定のギャラリーカフェ「ガレリア」で取材に応じる柴田まゆみさん=たつの市龍野町富永
柴田まゆみさんの唯一のシングルレコード「白いページの中に」のジャケット
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柴田まゆみさんの唯一のシングルレコード「白いページの中に」のジャケット

 かつての人気音楽コンテスト「ヤマハポプコン」で入賞し、デビューシングル1枚だけで引退した“幻の歌手”が、兵庫県たつの市で主婦として暮らしている。その名盤「白いページの中に」は実力派のボーカリストに長く歌い継がれ、13日公開の映画「ホテルローヤル」ではカバー曲が主題歌に。約40年前に発表された珠玉の一曲が、再び大きな注目を集めている。(直江 純)

 同市出身の柴田まゆみさん(61)。龍野東中時代にギターを弾き始め、旧龍野実業高ではフォーク部に。かぐや姫などをコピーして腕を上げ、卒業記念にオリジナル曲を作った。それこそが、後に本人が「白ペ」と略して呼ぶ作品の原型となった。

 ポプコンは当時、小坂明子さんや八神純子さん、中島みゆきさんらを生んだ歌手の登竜門。神戸市内の短大に進んだ柴田さんも別の自作曲を弾き語りして応募し、1977年秋の地区予選で作詞賞に選ばれた。

 「軽い気持ちで応募したのに『ぜひ来年も』と促されて。他に曲がなかったので『白ペ』を練り直したんです」。青春の切なさを「白いページの中に」という印象的な言葉を使いながら表現した歌詞には、「長い長い坂道を今登っていく」と神戸らしい情景も盛り込まれている。

 78年春大会では、予選を突破し、5月の本選に進出。長渕剛さんの「巡恋歌」などと並んで「入賞」に選ばれた。この時、佐野元春さんがより上位の優秀曲賞を得ている。

 あれよあれよという間に柴田さんもデビューが決まり、たつのと神戸、東京を行き来しながら収録。8月にはシングルレコードが発売された。ポプコン関連のテレビ番組のオープニング曲に採用され、ライブ出演も果たした。

 だが、柴田さんは音楽業界の慰留を振り切って、この1枚だけで引退してしまう。「プロの歌手になりたかったわけでもなく『青春の思い出ができた』ぐらいの気持ちでした」。短大を卒業し、結婚後は子育てに専念。音楽活動はほとんどしてこなかった。

 ポプコン回顧のライブに出たこともあったが「あがり症で人前で歌うのが苦手なんです」と笑う。だが、「白ペ」は知る人ぞ知る名曲として岩崎宏美さんや石井竜也さんらにカバーされて歌い継がれている。

 「いろんな『白ペ』を聴けるのは作者としてうれしい」と柴田さん。還暦を過ぎ、同級生の求めに応じて計画していた地元でのライブはコロナ禍で延期となったが、「ちゃんと練習しておかないとね」と穏やかにほほ笑む。

 映画「ホテルローヤル」は桜木紫乃さんの直木賞受賞作が原作で、出演は波瑠さん、松山ケンイチさんら。Leola(レオラ)さんがカバーした曲はiTunesで配信予約を受け付けている。

【ヤマハポプコン】正式には「ヤマハポピュラーソングコンテスト」。前身を含めて1969~86年に計32回開催され、主会場だった「つま恋リゾート」(静岡県掛川市)が当時の音楽文化の象徴として語られ、著名な出身者には世良公則さんや円広志さんらがいる。

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