大正から昭和にかけて兵庫県宍粟市波賀町の林業を支えた森林鉄道の雄姿を復活させようと、同市が購入した小型機関車が18日、波賀町上野のフォレストステーション波賀に到着した。展示用のレールの上でエンジンがうなりを上げ、住民らは波賀の森を走らせるという夢の早期実現に向け、決意を新たにしていた。
国土交通省立山砂防事務所(富山県)で2017年まで活躍していた国産ディーゼル機関車で、長さ3・5メートル、幅1・4メートル、重さ5トン。自治体向けに売り出されたのを知った住民グループ「波賀元気づくりネットワーク協議会」が、市に購入を要請していた。
大型トラックで到着した機関車は、協議会メンバーが手作りした長さ10メートルのレール上にクレーンで下ろされた。バッテリーを取り付けるとエンジンがうなりを上げ、前後に1メートルほどゆっくり動いた。運転席でレバーを握った男性(70)は「どきどきしたが、無事に動いてよかった」と笑顔を見せた。
同協議会は今後3年以内に、近くの湿原に約300メートルの線路を設け、観光客を乗せて走らせる構想を抱く。当面は週に1回はエンジンをかけ、走行できる状態を維持するという。
森林鉄道の官舎で育った同協議会森林鉄道部会長の岡本豊さん(65)は「60年前と同じ油のにおいがして記憶がよみがえった。夢のようだがまだ通過点。走らせる最終目標を実現したい」と話していた。(古根川淳也)
