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四国八十八カ所霊場を色紙に描いた寺村久男さん。妻の純恵さんと訪ねた思い出の寺もある=大正ロマン館
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四国八十八カ所霊場を色紙に描いた寺村久男さん。妻の純恵さんと訪ねた思い出の寺もある=大正ロマン館
国鉄時代の寺村さん。蒸気機関車から電気機関車への過渡期だった
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国鉄時代の寺村さん。蒸気機関車から電気機関車への過渡期だった

 石炭から水墨へ。戦時中に学徒動員で国鉄に入り、機関助手として蒸気機関車に石炭をくべた少年がいた。40代で書道と出合い、水墨画や篆刻(てんこく)にも打ち込んで半世紀近く。卒寿を迎えるのを機に、年齢に合わせた90枚の作品を飾る集大成の個展を「醤油(しょうゆ)の郷 大正ロマン館」(兵庫県たつの市龍野町上霞城)で開いている。(直江 純)

 同市新宮町出身・在住の寺村久男さん(89)。1944(昭和19)年に動員され神戸・鷹取の機関区に配属された。「まだ12歳。SLの掃除から覚えて、燃料の石炭を投入するきつい仕事でしたわ」と振り返る。

 終戦後も国鉄にとどまり、定時制高校に通って電気機関車の運転士に転じた。国民学校時代も授業の代わりに農作業ばかりさせられ、高校の数学には苦労したという。

 42歳で姫路の機関区の事務部門へ。弔辞などを筆耕する機会が増えて書道を始めた。妻の純恵(よしえ)さん(88)が営む子ども向けの教室を手伝うためでもあった。「生徒が多い時代でね。いたずらっ子を怒る役が必要だったんです」と打ち明ける。

 それが、妻よりも自分がのめり込んだ。「精神を統一しないと良い書はできない。雑念が入るとゆがんでしまうんです」。木簡調と呼ぶ古い書体を好み、旧龍野市展や姫路市美術展などで入賞を重ねた。

 個展は古希で初開催してから20年。卒寿の今回を区切りに「卒業」することにした。四国八十八カ所霊場を描いた水墨画の色紙88枚に空海などの2枚を加えた90枚を順番に並べた。

 お遍路は退職後に2周目の途中まで巡った。色紙には本堂に限らず、山門など印象に残った建物を描写した。寺院の名前も一つ一つ自分で篆刻して押印した。

 会場には、それ以外にも格言や縁起物などを書いた色紙約150枚も持ち込んだ。こちらは無料で自由に持ち帰ってもらう。「家に残されても困ると家族に言われてね。はやりの終活ですわ」と笑う。

 展示は31日まで(月曜定休)。午前10時~午後5時。無料。大正ロマン館TEL0791・72・8871

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