ふれあい喫茶に私設図書室開設 閉校した小学校の児童書など2千冊

2021/09/01 05:30

ふれあい喫茶「ほっと」に設けられた私設図書室「オッタニ文庫」=神河町大畑

 2020年に閉校した旧越知谷小学校(兵庫県神河町越知)の図書の一部がこのほど、校区内にあるふれあい喫茶「ほっと」(同町大畑)に移され、私設図書室「オッタニ文庫」として開かれた。閉校時の大塚高誉(たかよし)校長(現・神崎小校長)が図書の行き先を案じ、住民と相談。地域の交流拠点に置かれることになった。大塚校長は「住民の憩いの場となってほしい」と話す。(吉本晃司) 関連ニュース <生老病支>がん治療による脱毛 患者会、布製のケア帽子作製 太子拠点「少しでも悩み軽く」 全国のお城ファン集まれ! 9月中旬「エキスポ」、姫路で初開催 世界遺産登録30年記念 琵琶の弾き語り、情感豊かに80人魅了 大藪旭晶さん「耳なし芳一」など4作披露 佐用


 児童数の減少で旧越知谷小は20年4月に神崎小(同町粟賀町)と統合された。現在は豊岡市の米卸業者が次世代農業の研究施設として活用している。
 旧越知谷小の図書室には約5千冊の児童書などがあり、住民から寄贈された本もあった。豊岡の業者が図書室も事業に使うことになったため、神河町教育委員会が図書の行き先を模索。他の小学校には既に同様の図書があり、引き取り先が見つからなければ廃棄する予定だった。
 しかし、大塚校長が「廃棄は忍びなく、地域の図書として活用してほしい」と校区内の住民に相談。交流拠点として週2回開かれている「ほっと」に図書約千冊を運び、住民に自由に借りてもらうことになった。
 開設にあたり、大塚校長が私有の図書約千冊を持ち込み、計2千冊に。村上春樹さんら兵庫ゆかりの作家の小説や、地域の歴史に関する本もあり、子どもだけでなく大人も楽しめるライブラリーになった。所蔵図書以外に、住民が所有するお薦めの本を木箱に入れて貸し出す「一箱文庫」も設け、本を通じた交流にも期待する。
 孫に読み聞かせる絵本を借りた近くの主婦(68)は「家の絵本はもう何回も使ったが、ここならいろいろな絵本が選べる。私もテレビを見ずに読書する時間が増えた」と喜ぶ。
 大畑区長の稲川豊一さん(69)は「小学校がなくなって地域が寂しくなり、何とかしなければと思っていた。いいタイミングで図書室ができ、これをきっかけに何か新しいことを考えていきたい」とさらなる活性化策を練っている。
 オッタニ文庫は土曜の午前10時~午後3時、大塚校長が対応。水、日曜の午前中は「ほっと」のメンバーが対応する。貸し出し冊数、返却期限などは特に設けていない。

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