「里山能開学校」引きこもり当事者IT習得 自立支援へ平福に分校
2021/09/15 05:30
西木清子さん(右)宅を借り、分校を構えた里山ICT能開学校の尾鼻弘光さん=佐用町平福
引きこもり当事者の自立に向け、IT技術を伝える兵庫県上郡町の「里山ICT能開学校」が、同県佐用町平福に分校を開設した。かつては建具店兼民家だった建物を間借りし、プログラミングやホームページ(HP)の制作などを指導。地域の相談窓口としても活用するという。(勝浦美香)
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「里山-」で支援に取り組むのは、情報技術系の専門学校で講師を務めていた佐用町出身の尾鼻弘光さん(61)。2017年、上郡町野桑の旧鞍居小学校に拠点を構え、当事者支援や地域との交流を続けてきた。利用者がHP制作を仕事として請け負い、代金を受け取ることもある。
これまでの利用者は西播磨地域に暮らす20~30代。いずれも昼夜が逆転し、ほとんど部屋から出ない生活を送っていたという。同校での活動や、仕事の受注などを通して少しずつ周囲との関わりを取り戻し、既に3人が「卒業」。それぞれ仕事を見つけ、社会で活躍している。現在は別に3人が上郡校に通っている。
分校となる元建具店は、尾鼻さんの知人である西木清子さん(84)の自宅。大半が空き部屋となり、活用を希望していることを知った尾鼻さんが分校を提案した。西木さんの家族も快諾し、今春から準備を進めてきた。
近接する畑も同時に借り受け、尾鼻さんは「利用者と一緒に農業をするなど、自立支援の新たな事業も始めたい」と話す。地域との連携も期待し、要望があれば、土日に利用者による子ども向けのプログラミング教室も開きたいという。西木さんは「地域のために使ってもらえて、家がにぎやかになるのならこんなにいいことはないわ」と目を細めて笑う。
今後は家族相談会も毎月実施する予定で、「引きこもりに悩んでいる方は気軽に相談して」と尾鼻さん。上郡校、分校とも入学金は10万円で、学費は月5万円。尾鼻さんTEL090・1147・0602