医療事故相次ぐ市民病院、新たに3件判明 定年の院長「退職金返納は赤穂市の判断に委ねたい」
2022/03/25 20:35
赤穂市民病院=赤穂市中広
赤穂市民病院(兵庫県赤穂市中広)は25日、脳神経外科に在籍した男性医師(依願退職)の手術で医療事故8件が相次いだ問題を巡り、新たに3件の医療事故が起きていたと明らかにした。31日付で定年退職する藤井隆院長(65)は記者会見し「医療事故に遭われた方には申し訳ない」と謝罪した。
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男性医師の過失による医療過誤1件が2020年1月に起きた際、ほかの事案もあると判明。同病院は内規に基づく正式な事故調査委員会を開いておらず、藤井院長らが院内で検証したにとどまっていたことが明らかになっている。牟礼正稔市長が今年3月8日の市議会本会議で認めていた。
藤井院長らは会見で、正式な事故調査委を2月24日と3月11日に計2回開いたと説明した。調査委の結論は2回目に出たため、議会答弁に間に合わなかったと釈明した。新たに判明した3件を加え計11件の医療事故のうち医療過誤は1件と説明した。
藤井院長は病院が経営難に陥ったことも「病院のトップとして申し訳なく思っている」と陳謝した。男性医師の採用経緯は「医局の派遣ではないが、特殊な採用ではない」とし、自らの退職金返納の意思については「市の判断に委ねたい」と述べるにとどめた。(坂本 勝)