播磨の田園風景へいざなう 画家・森崎伯霊の没後30年展 赤穂・桃井ミュージアム
2022/04/08 05:30
森崎伯霊が描いた播磨の田園風景=桃井ミュージアム
兵庫県赤穂市御崎の桃井ミュージアムで、播磨の田園風景を描き続けた日本画家森崎伯霊(はくれい)の没後30年企画「ふたたびの春 伯霊親子展」が開かれている。伯霊が院展に出した代表作や十三回忌を迎える次男義春さんの日本画など約45点を展示。四男で「ふたつの森・伯霊記念館」(同県姫路市飾磨区中島)を開く川柳作家大青(たいせい)さんが墨書で父や兄の思い出を記し、緑豊かな田園風景へといざなう。(坂本 勝)
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伯霊は同記念館近くで生まれ育ち、独学で絵を描き始めた。1943(昭和18)年、姫路で初めて院展に入選。貧しい暮らしの中、播磨の原風景を描き続けた。93歳で亡くなる前日まで創作に情熱を燃やした。
青々と広がる稲穂が印象的な作品「青田」は90歳の時に描き、院展に出した最後の大作。牛を引く男児と籠(かご)を背負う母親以外は稲の青で覆い尽くした。院展で初めて入選した「田の草取り」とともに素朴さの中に春のいぶきや土の香りが感じられる。
次男義春さんの作品は4点。採石場で岩肌があらわになった男鹿(たんが)島や漁港で日干しされる魚、舞い飛ぶカモメなどを描いた絵もある。ヨットで太平洋横断に挑んでいる堀江謙一さんに憧れる「海の男」だったと大青さんは回顧し、家島へ船釣りに連れて行ってもらった思い出を記した。
伯霊に絵を教わった桃井ミュージアムの桃井香子館長は「空気や人物の心まで描くように、ひたむきに生きることを教わった」と話す。
5月16日まで。午前9時~午後4時。火曜休館。入館は館内で使える金券500円の購入が必要。4月9日にはお茶席のほか、午後1時から大青さんと札幌の俳人嵩(だけ)文彦さんの対談がある。桃井ミュージアムTEL0791・56・9933