怪しい声とメモにピン…ATM入金寸前で待った! 電話口の男も舌打ち、詐欺被害防いだ「お節介」
2022/05/22 21:15
架空請求の詐欺被害を防いだ田中紀子さん=宍粟署
架空請求の詐欺被害を未然に防いだとして、兵庫県警宍粟署は20日、同県宍粟市山崎町の自営業田中紀子さん(46)に署長感謝状を贈った。
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田中さんは4日午後、同市一宮町のJAハリマ本所で、携帯電話で話しながらATMを操作する女性を見掛けた。電話口から「○○してください」と指示する男の声が聞こえたほか、個人名義の口座番号や「インターネット」などと書いた女性のメモがあった。
田中さんは「(女性が)インターネットを使うように思えない。(話しぶりから)男も女性の身内には思えないのに、個人名義の口座に振り込むのはおかしい」などと不審に感じた。
田中さんが女性に「大丈夫ですか」と声を掛けると、女性は「『インターネットの料金が未納』と言われた。ネットなんか使わないんだけど」などと話した。電話を替わり、電話口の男に会社名を尋ねると「バニラ」と答えたため、ネットで「バニラ 詐欺」と検索すると、詐欺被害の注意を促すサイトが出た。
田中さんが男に「詐欺ではないか」と問うと、「チッ」と舌打ちをして電話を切ったため110番。女性は現金を機械に入れ、入金完了の一歩手前だった。詐欺と知った女性は恐怖で震えていたという。
署によると、女性は70代。携帯電話に「利用料金の支払い確認が取れていない」というショートメッセージが届いたため、記されていた番号に電話したところ、男に「携帯のネットの支払いが1年分未納。電話を切らず、家族に言わないで銀行へ向かって」などと言われたという。
田中さんは「犯罪被害を防げてうれしい。お節介も役に立つもんですね」と笑顔で話した。(村上晃宏)