脳出血で右半身まひ、失語症に リハビリで始めた切り絵で4度目の作品展 左手でこつこつ、繊細に表現

2022/06/15 05:30

本林俊昭さん(右)の切り絵作品が並ぶ会場=上郡ピュアランド山の里

 兵庫県上郡町山野里の上郡ピュアランド山の里で、同町の本林俊昭さん(67)の切り絵展が開かれている。脳出血で右半身がまひし、失語症で会話ができなくなったが、リハビリの末、利き腕ではない左手で繊細に表現できるまでになった。タブレット端末の画面に短文をペンで書いては消すやりとりで意思を伝える。懸命に生きる姿に同級生らが4度目の作品展を後押しした。(坂本 勝) 関連ニュース 再起への希望、切り絵に託す 脳出血で半身まひ、失語症の男性「2、3年は地獄のような日々」 赤穂で作品展 【写真】切り絵の作品 一刻を争う脳卒中治療、兵庫の病院がオリジナル手引でコロナ禍もスピード維持 全国に共有

 本林さんは2009年、自宅で倒れ、運ばれた病院で手術。命を取り留めたが、障害が残った。会社を退職し、家族と別れて11年から1人暮らしを続ける。
 「左手のリハビリに」と切り絵は約3年前から始めた。運河を行き交う小舟や、演奏を楽しむ楽団員を楽譜模様でつなげた作品など約20点を入れ替えながら展示する。本林さんは「展示会を開いてから大勢の人と知り合えた。まだ見ていない人に見てほしい」と話す。
 企画した「上郡この本だいすきの会」代表で同級生の三島澄子さん(67)は「妻子の迷惑にならないように自ら別れを切り出したと聞いた。元気な様子が伝われば」と話す。友人の竹内真也さん(65)は作品の絵柄を入れたはがきを作った。2枚100円(5枚200円)で販売。30日まで。

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