相生の道の駅「ペーロン城」、21年度は赤字に 時短営業、温泉の燃料費高騰響く

2022/09/10 05:30

道の駅「あいおい白龍城」=相生市那波南本町

 道の駅「あいおい白龍(ペーロン)城」(兵庫県相生市那波南本町)は2021年度決算で、本業のもうけを示す営業損益が約1700万円の赤字となった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い時短営業を強いられた上に、世界的な原油高に見舞われて目玉の温泉施設の燃料代がかさんだ。経営難を受けて市は同年度に1億円を補助しており、収支の改善が急がれる。(地道優樹) 関連ニュース 【写真】相生湾を望むペーロン温泉 赤字続きの道の駅に市税1億円投入 温泉の客足伸びず、競争で苦境 たつの市最大のショッピングセンター全館閉館へ 核テナントはイオン 専門店店主ら困惑


 白龍城は1997年、市と石川島播磨重工業(現IHI)などが出資する第三セクター「あいおいアクアポリス」がオープンした。2006年度に初の黒字転換を果たしたが、10年度から赤字基調に。18年度には全ての資産を売却しても債務が残る債務超過に陥った。
 運転資金が底をつく見通しとなったため、市は21年度、初となる公的資金の投入を決定。1億円のうち、3千万円を当面の運転資金に充てた。
 21年度は来場者が前年比微減の22万6千人。名物のカキのシーズンにコロナの行動制限が緩められ、売り上げは温泉、飲食、物販の3部門を合わせて前年比3%増の約1億6800万円だった。温泉を沸かす重油の価格が前年比で約1・5倍に膨らみ、営業損失を計上した。
 県から約970万円の時短協力金を受け、経常損失は約740万円に圧縮されたが、市の担当者は「現在も原油高が経営を逼迫(ひっぱく)させている」と話す。温泉井戸の泥を取り除く約3千万円の浚渫(しゅんせつ)工事を控えるなど厳しい経営状況は続く。
 来場者を増やそうと、白龍城は4月から市の広報誌に小学生以下の入浴無料券を掲載したり、敬老月間の9月限定で65歳以上の入浴料を割り引いたりする試みを展開している。今月7日からは平日の温泉施設の営業開始を3時間早め正午からとした。また、来年秋までにテント式の農産物直売所に建屋を設ける予定で、市の担当者は「来場者数が低迷している物販部門を強化することで、収支の改善を図りたい」としている。

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