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戦いの間、松田隆彦氏のたすきにぶら下がっていた靴のアクセサリー=神戸市内
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戦いの間、松田隆彦氏のたすきにぶら下がっていた靴のアクセサリー=神戸市内

 その小さな靴を見つけたのは、神戸市長選が告示された8日だった。共産推薦で立った松田隆彦氏(58)のたすきにぶら下がったアクセサリーが目に付いた。大きさはざっと5センチ。松田氏が商店街を歩いたり、熱弁を振るったりする度に、かわいらしく揺れていた。

 演説の合間に尋ねてみた。松田氏はにっこりとした表情で「これね、東灘の靴屋修理屋さんでもらったんだよ。『足で票を稼いでね』って。うれしくてね。ずっと付けようと思ってます」と話してくれた。

 商店街や中小企業の振興は、訴えの柱の一つだった。須磨区の板宿商店街、兵庫区の東山商店街、中央区の大安亭市場…。松田氏は、とにかく丁寧に商店街を回っていた。

 路地の奥の奥、半世紀はたっているであろう、古びた商店でのこと。「昔より人通りが目に見えて減ったんや」「なんとか、してや」。店主の老婦人が訴えかけた。松田氏は、真剣な表情で聞いていた。その靴は、地面から跳ね飛んだ泥で少し汚れていた。

 衆院選と市長選。過去2度の選挙戦を経験している松田氏。選挙戦を終えた21日、手応えを尋ねると、「これまでで一番」と間髪入れずに返ってきた。

 「住民の暮らしを守る」と訴えた松田氏だったが、現職陣営に大差で敗れた。しかし、密着取材の中で、市井の人々の切実な現状や願いを、市役所に届けようとした松田氏。小さな黄色の靴は、住民に歩み寄る松田氏の姿勢を、そのまま表していた。

 戦いが終わった後、「靴はどうするんですか」と聞いた。「せっかくもらったし、かばんにでも付けようかな」と松田氏は、重圧から解放された穏やかな口調で答えてくれた。(杉山雅崇)

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