金田氏は… 最小会派の推薦で県政運営できますか?

2021/06/15 18:00

共産の推薦を受ける金田峰生氏=神戸市兵庫区

 【質問】今回の兵庫県知事選に立候補を表明している元県議金田峰生氏(55)は共産の推薦を受けています。県議会(定数86)の共産は所属議員5人。金田氏が当選しても、予算案や人事案が可決されず思うような県政を運営できないのではないでしょうか。 関連ニュース 丸川五輪相、東京五輪に言及せず 兵庫県知事選、神戸で応援演説 兵庫知事選ネット調査 斎藤氏やや優勢、金沢氏追う 4割が投票先未定 兵庫県知事選、期日前投票所を増設 神戸市中央、長田区で各1カ所

 現在の県議会の会派構成は、自民党=32人▽ひょうご県民連合=14人▽公明党・県民会議=13人▽自民党兵庫=12人▽維新の会=8人▽共産党=5人▽無所属=2人。
 県知事選は2005、09、13年と、国政での対立を尻目に自民、公明、旧民主社民が相乗りで支える現職井戸敏三氏(75)と共産の単独推薦候補による一騎打ちの構図が続きました。4人が立候補した前回の17年も、共産の単独推薦候補が井戸氏に挑みました。
 井戸氏が退く今回も、金田氏を推薦、支援する意向を表明している会派は共産以外にはなく、他候補を推す会派が複数あります。知事選後の情勢にもよりますが、金田氏が知事になっても、県議会で金田氏を支える勢力は当面、過半数に届かない可能性が高そうです。
 こうした“少数与党”の首長は兵庫県内でも例があります。JR芦屋駅前再開発の予算案が繰り返し反対されている芦屋市や、幹部人事を巡り混乱が収まらない太子町などは、議会で多数派を味方に付けているとはいいがたく、苦労している印象です。県議会の顔ぶれは、2023年4月の県議選までは変わりません。どう乗り越えるのか、金田氏本人に聞きました。
 金田氏は「私が議会に示す提案は県民の要望そのもの。反対ならば、議会には理由を示してもらう」とし、基盤が「県民」にあると強調します。金田氏は今後も県民の意見を反映させて公約を練り上げていくとしています。
 一方で、議会に対し「議論は歓迎する」とし、「私がくめていない意見を届けてくださるのはありがたい。反対意見がもっともだとなれば、修正を加えることもある」と話します。その上で「お互いに誠実に理を尽くせば、道は開かれる。選挙が終わればノーサイドです」と楽観的な見通しを示します。
 ただ、金田氏の公約は播磨臨海地域道路整備などの大型公共事業や企業誘致などの予算を削り、福祉や中小企業支援に回すなど、現県政を支えてきた会派とは一線を画しています。膠着状態が続くと、県政の停滞を招きかねず、金田氏には相当な手腕が求められそうです。
(金田氏担当・初鹿野俊)

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