開票作業前になぜ「当選確実」?

2021/07/18 06:30

4月の朝来市長選では投票終了直後の「ゼロ当確」が打たれた=4月25日夜、朝来市和田山町

 【質問】新聞社のインターネット速報やテレビのニュース速報などで、開票率が0%なのに「当選確実」と報道されることがよくあります。なぜ、そんなことができるのですか。間違える可能性はないのでしょうか。

 地方行政のかじ取り役や、施政に賛否を示す議員を選ぶ選挙の結果は住民の大きな関心事であり、少しでも早く当落を伝えるのは報道機関の使命と言えます。報道機関は当選が確実になった時点で、確定を待たずに「当確」を打ちます。
 当確はさまざまな要素を根拠にしますが、最も大きなものは「出口調査」の結果です。報道各社は期日前投票も含めて複数の投票所に調査員を配置し、投票を終えた人に答えてもらった投票先などを集計して選挙結果を予想します。調査は匿名で行い、回答が他人に知られたり、記録に残されたりすることはありません。
 首長選の出口調査で、1位の候補者の得票率が他を圧倒している場合などは、開票作業が始まる前に当確を打ちます。ただし、投票時間中に打つと、まだ投票していない人の選択に影響するため、当確はどんなに早くても、投票が終了する午後8時を待ちます。
 過去に神戸新聞社が実施した出口調査結果は選挙結果とおおむね一致していますが、誤差は生じます。接戦となった場合は開票作業の進展を待ち、開票所での目視や中間発表などで票の出方を見極め、当確を打ちます。
 間違いはあってはならず、当確の見極めは報道機関が過去に蓄積してきた経験や取材に裏打ちされています。勝敗が読めない場合は無理をせず、僅差の大接戦では確定を待つのも判断の一つです。(出口調査担当デスク 森本尚樹)

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