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 JR西日本は、事故の発生を招いた人為ミス(ヒューマンエラー)をした乗務員らを懲戒処分とはしない新制度を、来年4月に導入する方針を固めた。死者が出て刑事罰に問われるような重大事故も含む考え。故意や怠慢などによるミスは懲戒対象のままとするが、線引きが難しい面もあり、社内に設ける判定委員会で個別に判断する。関係者の話で分かった。

(森 信弘)

 新制度は、ミスを隠さず、現場から正確な報告を促すことなどが目的。乗客106人が亡くなった2005年の尼崎JR脱線事故では、JR西の個人責任を追及する体質が批判され、遺族や有識者も参加する「安全フォローアップ会議」が「確率的に発生するエラーは原因究明を優先し当該社員を処罰しない」よう提言していた。

 人為ミスは、オーバーランや信号の見落としなど。すでにオーバーランは懲戒対象から外れている。今年11月に神戸線で起きた架線切断トラブルでは、運転士の標識の勘違いが原因だったが、新制度にあてはめると処分されない見込みという。

 故意や飲酒、怠慢などの重大な過失は今後も懲戒処分の対象。判定委員会は各支社などに設けるとみられる。

 同様の制度は、航空業界で先行した。07年に導入した日本航空では現在、以前よりかなり多い年間数千件のミス報告があり、再発防止に役立てられているという。

 一方で、「規律が緩む」といった懸念があることも確かだ。11月の架線トラブルでは、乗客が2時間閉じこめられるなどの混乱をもたらした。関西の別の鉄道事業者からは「利用客に大きな迷惑がかかっても本当に処分せずに済ませられるか」との疑問も出る。

 これに対し、JR西関係者は「すべてが非懲戒ではない。1件ずつしっかり見極めて運用する」と強調する。

 関西大学の安部誠治教授(公益事業論)は「新制度は、罰を恐れた焦りによる事故防止にもつながる」と評価し、「処分しないことを社会が許容できるよう、再発防止のためという理解を広げる努力も必要」としている。

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