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加美ヒノキのよさを最大限に生かす木組みの伝統工法=多可町中区門前、太田工務店
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加美ヒノキのよさを最大限に生かす木組みの伝統工法=多可町中区門前、太田工務店
樹齢100年のヒノキが育つ林=多可町加美区
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樹齢100年のヒノキが育つ林=多可町加美区

 伝統工法でヒノキの家を建てませんか-。兵庫県多可町の森林所有者らでつくる「加美林業研究クラブ」が、地震にも強く100年以上の耐久性を持つとうたう“多可町ブランド”の家を提案している。50年、100年かけて育てられた木を、建築主が同町の森で選ぶ。3月には神戸市東灘区の岡本商店街で伝統工法の実演会を開くなど、木材生産者の顔が見える家造りをアピールしている。(敏蔭潤子)

 江戸時代に植林を始めた多可町の加美地域は面積の約6割が人工林で、その7割をヒノキが占める。長年にわたり、不要な樹木の除去や枝打ち、下草刈りなどの細やかな管理を継続。同クラブメンバーによると、樹齢が長くなるほど年輪の隙間が締まり強度が増すとともに、腐りにくくなるという。木肌がピンク色で香りもよい。直径50センチほどに育ち、樹齢100年の収穫期を迎えたヒノキも多いが、販路がないため需要が低迷している。

 同クラブメンバーで、神社仏閣や古民家の改修を主に手掛ける太田工務店(同町中区門前)は、木材を正確に切り抜いた凹凸をかみ合わせて組み立てる伝統工法を採用する。

 近年の住宅建築は、あらかじめ製材機械で加工した木材を組み立てる「プレカット」が主流で、機械の規定サイズに合わない木材は燃料やパルプ用チップに加工される場合が多い。伝統工法では大工がのみやのこぎりで1本ずつ加工するため、ヒノキに節や傷があれば見えない床下に使うなど無駄なく活用できる。

 住宅建設の価格帯は1坪当たり50万~60万円が主流という。年々低価格化も進む。伝統工法で住宅を建てると通常、80万~90万円程度だが、同クラブが提案する多可町ブランドの家は山から切り出した材木を工務店に直接搬入するなどしコストを削減。同工務店代表の太田亨さん(38)は「60万~80万円で建築できれば」と話す。

 森から切り出した木を高温で急速に乾かすと中に割れが入るが、同クラブはヒノキを自然に近い状態で乾燥させるので割れない。かんなをかけると、つやが出て、布で拭けば味わいが出る。太田さんは「木組みの家は揺れにも強く、100年以上長持ちする」と胸を張る。

 7月30、31日には同町の山林の見学会を予定している。同クラブTEL090・6914・9234

■県内林業は復調の兆し、課題は価格

 林業を志す若者を描いた三浦しをんさんの青春小説「神去(かむさり)なあなあ日常」が2014年に映画化されたが、兵庫県内でも近年、林業労働者には若返りがみられるようだ。県内で1993年に約1800人だった就業者は2013年には約900人に半減したが、一方で50歳未満は15%から53%に上昇。県は次代の林業を担う人材育成機関「森林大学校」を宍粟市内で17年度に開校し、就業者の定着を図る。

 県内の原木生産量は、木材需要が高かった1980年の40万3千立方メートルから減少傾向だったが、兵庫木材センター(同市)の本格稼働により2010年から増加に転じた。木質バイオマス発電事業の運転開始も後押しし、14年には31万6千立方メートルに回復。県は今後、県産材の用途拡大を進め、20年には43万立方メートルまで伸ばす計画だ。

 一方、原木価格は1980年をピークに下落傾向で推移。1立方メートル当たり6万7500円だったヒノキは1万8600円(2014年)と3分の1以下になった。林業就労者の定着を図るには、価格底上げが課題になっている。

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