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■兵庫県関係議員「チャンス」「情報開示を」

 環太平洋連携協定(TPP)承認案と関連法案が衆院本会議で可決された10日、兵庫県関係の衆院議員からは「審議が尽くされた。国益は守られ、向上する」「内容にも議論の進め方にも納得できず、受け入れがたい」など、さまざまな受け止めが聞かれた。

 内閣府副大臣としてTPP交渉に当たった自民党の西村康稔氏(兵庫9区)は、賛成討論に臨み「中小企業や農家に輸出拡大のチャンスが広がる」と言い、米大統領選で勝利したドナルド・トランプ氏が反対している点は「TPPの重要性を伝え、共有することが急務」と述べた。

 自民の谷公一氏(同5区)は、農相の発言前、与野党でいったん採決に合意していた点に触れ「議論は尽くされた」としたが、「兼業農家などを守り育てる地域振興策はさらに充実させるべき」とも話した。

 公明党の中野洋昌氏(同8区)は「尼崎などの中小製造業者からは早期批准の要望があった。成長戦略につなげる好機」とした上で「畜産などへの懸念の声も聞いており、メリットをきっちり伝える」。

 共産党の堀内照文氏(比例近畿)は農業分野などの課題を指摘し、審議過程も批判。「説明しない甘利氏や黒塗りの資料など議論の入り口からおかしい。突っ走った採決で、許せない暴挙」と憤った。

 民進党の井坂信彦氏(兵庫1区)は「食の安全が確保されていないし、審議の情報開示も不十分。議論は深まっていない。採決を急ぐ必要はまったくなかった」とこの日の採決自体に反対した。(佐伯竜一、大盛周平、藤森恵一郎)

■「全体像が見えない」

 8400ページもの協定関連文書からなる環太平洋連携協定(TPP)の承認案と関連法案が衆院を通過したが、NPO法人AMネット(大阪市)の武田かおり事務局長は「本質はほとんど理解されていない」と表情は厳しい。

 同団体は20年前、グローバル化による社会の影響を調査するため大学研究者やジャーナリストらが創設。ここ4年は、兵庫など関西各地の食、医療の団体などで100件超の勉強会を開いてきた。

 武田さんが必ず話すのは、議論が集中した農業の関税撤廃は30章ある文書の一部にすぎず、それ以外に社会の多くの分野に関わる膨大で複雑なルールが存在するということだ。

 「医療は決まった章があるわけでない。この章とこの章が多分関わるだろう、という具合に読み解かないといけない。交渉経過が公開されていないから、文脈も理解しづらい」

 中でも気掛かりなのが「ISD条項」。外国に投資した企業がその国の国内制度のために損害を受けたと提訴できる仕組みだ。「日本政府の解釈が多国籍企業と同じかどうかは分からない。関連文書の誤訳問題もあった」

 武田さんは「国会でもようやく少しずつ分かってきたところ。批准すれば抜けられない。もっと慎重に考えるべきだ」とくぎを刺す。(辻本一好)

■県医師会長「国民皆保険、堅持を」

 環太平洋連携協定(TPP)参加により、国民皆保険制度の見直しが迫られる可能性も指摘される医療分野で、政府は「変更は求められていない。制度は堅持する」とする。トランプ氏が次期米大統領に当選し、先行きに不透明感が増すが、兵庫県医師会の空地顕一会長(60)は「(TPP交渉以前から)医療保険の市場開放を執拗(しつよう)に求めてきた米国が引き下がるとは思えない」と警戒する。

 政府は、TPP交渉で米国と交わした文書で、医療制度について将来協議する用意があると言及。空地会長は「健康保険証があれば、いつ、どこででも、安価で適切な医療を受けられる制度を崩してはならない。参加後、医薬品などが高額化する恐れもある」と強調する。「議論の行方を注視し、制度崩壊を招くことがないよう政府への働き掛けを続ける」とした(山路 進)

■神商議会頭「1日も早い発効を」

 兵庫県内の経済界では10日、神戸商工会議所の家次恒会頭が、TPP承認案と関連法案の衆院通過について「国会承認に向けて大きく前進した。日本が率先し、1日も早い発効につなげてほしい」と評価するコメントを出した。

 国内の市場は少子高齢化で伸び悩んでおり、同商議所は海外に販路を広げたり、工場を設けたりする会員企業の支援に力を入れる。TPPは関税撤廃などを通じ貿易の活性化を図ることから「経済成長が著しいアジア太平洋地域で中小企業が自由に事業展開するうえで追い風になる」とする。

 トランプ次期米大統領は自国経済の保護を最優先しTPP脱退を宣言したが、「加盟地域の経済的な繁栄が米国にとっても重要との認識に立ち、現実的な判断をされるよう望む」と再考に望みを託した。(内田尚典)

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