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 南極大陸に最大規模の天体望遠鏡を建設する計画を、関西学院大理工学部(兵庫県三田市)の瀬田益道教授(電波天文学)らのグループが進めている。観測に赴くことすら困難で、冬場の気温は氷点下80度。マグロの冷凍倉庫より低温の極限の地だが、「観測環境は地球一」という。2018年度の建設開始、25年度の運用を目指しており、新たな天文現象の観測や宇宙の進化の解明が期待される。

 星と星の間には、目に見えない超低温のガスやちりが薄く広がっている。建設を計画するのは、これらの物質が出す電磁波で、赤外線よりやや長い波長の「サブミリ波」を観測できる望遠鏡。サブミリ波は空気中の水蒸気が観測の大敵で、現在は米ハワイや南米チリの山地が主な観測地だが、「低温で乾燥した南極大陸の高地が、地球上での最適地。しかも晴天の日が多い」と瀬田教授は指摘する。

 サブミリ波では、光(可視光)で見えない天体現象が見える。例えば、生まれたての銀河。「星と星の間は一見、暗く見えるが、サブミリ波を見ればガスやちりがビカビカ光っている」。可視光の望遠鏡では分からなかった現象が観測でき、銀河の進化や星の誕生の解明などにつながるとの期待がある。

 計画を進めるのは瀬田教授のほか、筑波大(茨城県)、国立極地研究所(東京)などでつくるグループ。南極の中でも空気が薄く、水蒸気が少ない標高3千メートル以上の氷の山に、直径約10メートルの望遠鏡を建てる計画だ。

 ただし、そこは過酷な環境下。「アイデアは20年以上前からあった」が、誰も手を付けられずにいた。観測装置の開発には大型の冷凍庫を使い、電気ケーブルはマグロ倉庫用のものを試した。瀬田教授も09~10年、日本の天文学者として初めて南極大陸に乗り込み、建設する際の経路や観測環境を調査した。

 現在、国に事業予算を申請中。瀬田教授は「サブミリ波の観測には、天文学の常識を書き換えるような大発見の可能性がある。最高の条件で観測できれば、その期待も高まる」と話す。(武藤邦生)

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