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痴漢を巡るえん罪事件について心境を語った男性=神戸市中央区
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痴漢を巡るえん罪事件について心境を語った男性=神戸市中央区

 痴漢の疑いを掛けられ、今年6月の神戸地裁判決で無罪が確定した男性(22)=兵庫県在住=が取材に応じ、犯人に仕立てられた取り調べの経緯などを明らかにした。証拠写真の不備がきっかけで嫌疑が晴れたのは約1年7カ月後。不安な日々を送った男性は「取り調べを受ける側の権利を知っていればこんなに苦しまずに済んだ」と悔やむ。

 2014年12月4日朝、専門学校が近い神戸・三宮でバスを降りると、制服姿の警察官に呼び止められた。「家族に何かあったのか」。パトカーに乗り込むと、聞かされたのは2日前のバス内で隣に座る女性の太ももを触ったという疑いだった。そのまま警察署の取調室に連れられた。

 「やった覚えはないのか?」「ないです」-。男性によると、繰り返し容疑を否定したが、取調官は「証拠はある」と取り合わなかった。途中、外部への連絡を求めても聞き入れられず、別の捜査員から「うそをついている」と迫られ、不安と恐怖で平常心を失った。結局、容疑を認める自白調書に署名し、解放されたという。

 男性の担当弁護士が取得した取り調べ報告書によると、この日の聴取は休憩を挟んで計約7時間20分。男性は聴取後、ストレス性自律神経失調症と診断された。その後も計4回の取り調べを受け、否認を続けたが、15年秋に県迷惑防止条例違反罪で在宅起訴された。

 公判に入り、警察が押さえていた証拠写真が男性にとって有利に働いたという。写真には被害を訴えた女性の証言通りに太ももを触ることができないスカートが写っていた。

 神戸地裁の判断は「無罪」。それでも男性は喜べなかった。「あれだけ否認しても起訴された。自分に有利な写真があっても控訴されると思った」

 検察は判決を受け入れ、無罪が確定。バス停で呼び止められてから約1年7カ月が過ぎていた。弁護士によると、証拠写真は男性の起訴後に撮影されたとみられ、弁護士は「警察は女性の証言に疑問を持つ余地はあった」と指摘する。

 男性は捜査についていくつかの点を最低限学んでおくべきだったと振り返る。「任意同行を拒否できたし、取り調べ中でも外部と連絡できた。当然の権利をどれだけの人が知っているか」。男性は今も警察官と似た制服の警備員を見ただけで体がこわばるという。

 神戸新聞社は11月、今回のような無罪判決が出た場合の再発防止策などについて県警に情報公開請求したが、「文書はない」との回答を受けた。

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