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 近年、地域の子どもや高齢者が集まって一緒に食事をする「地域食堂」が盛んだ。今年3月、兵庫県宝塚市長尾地区でも立ち上がったが、その原点は1995年の阪神・淡路大震災だった。「あのとき、人のつながりが、人を助けることを知った」。民生・児童委員の福住美寿(みす)さん(68)は住民の絆を強め、地域福祉・防災力の向上に力を注ぐ。(土井秀人)

 12月25日。会場の施設にはお年寄りや子ども、ボランティアら約100人が集まった。一緒にクリスマス飾りを作ったり、ご飯を食べたり。女性(88)は「家では1人。おしゃべりできるのが一番楽しい」と喜ぶ。

 安産祈願の中山寺で知られる長尾地区。震災で震度7の激震に襲われ、多くの建物が倒壊した。福住さんも自宅が全壊したが、ボランティアとして駆け回った。

 地区では行政の指定避難所のほか、住民が自治会館を開放。会館に避難したのは顔見知りばかりだった。当時、幼稚園に勤めていた福住さんは「何かできる立場になったら、誰もが安心できる避難所をつくりたい」と強く思った。

 99年に民生・児童委員となり、2004年には勤め先を退職。本格的に地域での活動を始めた。09年には、兵庫県佐用町などを襲った豪雨災害のボランティアへ。大きな災害を目の当たりにし「安否確認は、地域の民生・児童委員が担うべきだ」と思った。地元の高齢者世帯約1500戸を訪ね、独自の要援護者リストを作った。

 11年の東日本大震では「私たちは阪神・淡路を経験したが、意識が薄れ、行政が何とかしてくれると思う人が多くなっていないか」と見詰め直した。

 自治会やまちづくり協議会と連携し、避難所運営マニュアルを作成。さらに民生・児童委、避難所運営委員会ごとの行動マニュアル、各指定避難所の施設利用計画など、地域の実情に合わせた防災の取り組みを続けてきた。

 16年3月から始め、月1回開催する地域食堂も、阪神・淡路大震災からの延長線上にある。独居老人の抱える孤独や、子どもの居場所をどうするか。民生・児童委の活動などで直面した問題の解決の糸口が地域食堂だった。

 「年寄りも子どもも、重なり合えばいい。1人暮らしでも、独りぼっちじゃない。子どもを安心して育てられる。みんながそう思える地域は強い。この実践は将来、必ず実を結ぶ」

 間もなく震災から22年。絆を固め、防災力を高める取り組みは終わらない。

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