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採取した水をろ過する源利文特命助教(右)=神戸市灘区鶴甲3
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採取した水をろ過する源利文特命助教(右)=神戸市灘区鶴甲3
水をこしたろ紙。真ん中の色の変わった部分に、生き物のDNAが含まれている=神戸市灘区鶴甲3
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水をこしたろ紙。真ん中の色の変わった部分に、生き物のDNAが含まれている=神戸市灘区鶴甲3
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 川や池、海からくんだ牛乳パック1本分の水だけで遺伝子を抽出し、その場所にすむ生き物をぴたりと当てられる「環境DNA」の分析が注目されている。魚や両生類などが水の中に残していったDNAを「指紋」のように識別する。登場から10年足らずの最新技術だが精度は高く、絶滅危惧種オオサンショウウオの生息調査などに活用されている。(武藤邦生)

 「生息する生き物の情報は、この中に詰め込まれています」。神戸大人間発達環境学研究科特命助教の源(みなもと)利文さんが、直径5センチ足らずのろ紙を手に話した。川や池などから採取した水をろ過したものだ。

 生命の「設計図」と呼ばれるDNA。生き物にとってはかけがえがないが、実はふんなどとともに環境中へ排出され続けているという。

 魚や水生生物が捨てた「環境DNA」を水ごと採取し、遺伝子を高精度で調べるPCRという方法で解析。どんな種類が生息しているかを特定する。2009年ごろから研究に取り組んでいる源さんは、この手法のトップランナーだ。

 「正攻法」で水中の生き物を調査するのは容易ではない。観察や捕獲には多くの労力が要るし、種類の特定には専門的な知識も必要となる。

 対して、環境DNAの分析なら、必要な水はわずか1リットル。1カ所での取水作業は、温度や水質の確認を含めても5分程度という。

 海の場合、おおむね半径数百メートルの生き物の情報がキャッチできるとされ、コンピューターでリスト化されて示される。「魚、両生類、爬虫(はちゅう)類、甲殻類、寄生虫、植物など、今まで試みたものはすべて検出できた」と源さん。沖縄美(ちゅ)ら海水族館の水槽の水を分析したところ、飼育している180種のうち168種が的中した。

 特定の生物に絞った調査にも有効だ。源さんらは全国各地の川でオオサンショウウオの分布を調査している。「見た目では区別できない在来種と外来種の違いまで分かる」といい、外来種の侵入を素早く把握できる。

 環境DNAを取り出せるのは、水生生物だけではない。川や池に水を飲みに来た哺乳類のDNAも含まれているという。

 源さんは「将来的には、大学の横を流れる六甲川の水を一杯くめば、イノシシなども含め、六甲山にすむすべての生き物が把握できるようになるかもしれない」と話す。

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