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旅館の入り口に展示された「ガールズ&パンツァー」の登場人物のパネルを撮影するファン=茨城県大洗町磯浜町
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旅館の入り口に展示された「ガールズ&パンツァー」の登場人物のパネルを撮影するファン=茨城県大洗町磯浜町
神戸新聞NEXT
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 アニメの舞台となった地域をファンが実際に訪れる「聖地巡礼」。昨年の新語・流行語大賞のトップ10にも入ったこの現象で期待されるのが地域活性化だ。地方が人口減などに悩む中、観光客増に直結するとあって、地方自治体などはあの手この手で作品の利用に知恵を絞る。昨秋には関係企業が訪日観光客の取り込みも狙って団体を立ち上げるなど、広がりをみせている。(大盛周平)

 茨城県大洗町。人口約1万7千人の港町は、聖地巡礼場所として圧倒的な人気を集める。舞台にしたのは、女子高校生が武道として戦車で戦うテレビアニメ「ガールズ&パンツァー」(ガルパン)。ファンは作中の背景を探しながら商店街を散策、店先に並ぶキャラクターパネルを撮影して追体験を楽しむ。

 ガルパン効果で週末はファンであふれ、特産品をPRする毎年恒例の「大洗あんこう祭」は大にぎわい。アニメ放送が始まった2012年の6万人から年々増え、昨年は13万人が訪れた。15年度のふるさと納税額は14年度の26倍となる約2億円に。アニメ制作に協力した一人で、旅館を営む大里明さん(40)は「これほどにぎわうとは想像もしていなかった」。

 ドラマや映画のロケ地巡りと同様に以前からあったアニメファンの文化は、近年、一気に注目を浴びるようになった。大ヒット中のアニメ映画「君の名は。」のモデル地とされる岐阜県飛騨市に大勢が押し寄せる行動を生んだ。

 理由として考えられるのが、現実的な風景を取り入れるアニメが増えたことだ。山村高淑(たかよし)・北海道大学教授(45)=観光学=は「アニメ産業が成熟し、目が肥えたファンが感情移入しやすいように作品にリアリティーが備わってきた」。インターネットの進化で、ファン同士の情報共有のスピードが上がったことも一因とみる。

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 地方自治体などは、関連イベントやコラボ商品の開発などで地域活性化につなげようと模索する。兵庫県でも西宮市内で06年にアニメ化された「涼宮ハルヒの憂鬱(ゆううつ)」など、アニメ関連の巡回マップ作製や企画展などの取り組みが行われている。

 経済界では昨年9月、KADOKAWAやJTBなどを主体に「アニメツーリズム協会」が発足した。今年中に国内88カ所の聖地を認定し、周遊ルートを策定するといい、理事長に就いたアニメ監督の富野由悠季(よしゆき)さん(75)は「アニメは好奇心を呼ぶ。その魅力を海外にも知ってもらおう」と訴えた。

 ただ、聖地巡りには難しさも。「ビジネス化」すると作品への純粋な気持ちが利用されたと感じ、ファン離れが起きかねない。舞台の地の住民感情もさまざまで、著作権の問題もはらむ。

 大洗町では、商店主らがファンと対話する中で作品への理解を深めている。商店には、訪れたファンからのプレゼントが並ぶほど。旅館業の大里さんは「町の人も作品を楽しんでいることがファンに伝わっていることが大きい」と言う。

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