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夫清さんの遺影を手にする延原タヨ子さん。「今も悔しさが消えない」=宝塚市内
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夫清さんの遺影を手にする延原タヨ子さん。「今も悔しさが消えない」=宝塚市内
石綿の飛散防止のため、解体工事現場で調査する熊本市職員=今年2月、熊本市内(同市環境政策課提供)
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石綿の飛散防止のため、解体工事現場で調査する熊本市職員=今年2月、熊本市内(同市環境政策課提供)

 阪神・淡路大震災で被災建物の復旧作業に携わり、アスベスト(石綿)疾患の中皮腫で死亡した男性の妻が21日、熊本市で開かれるシンポジウムで、石綿飛散の危険性と防止策の徹底を訴える。熊本地震の発生から1年の被災地では倒壊建物の解体が進み、石綿の吸引による健康被害が心配される。「悲しい思いを繰り返さないで」。その一心で妻は自らの経験を語る。(小林伸哉)

 兵庫県宝塚市の延原(のぶはら)タヨ子さん(72)。夫の清さんは、阪神・淡路で友人の工務店の仕事を40日間手伝い、がれきなどを運ぶ際に石綿を吸引。帰宅時、いつも白っぽいほこりが帽子や衣服に積もっていたという。2011年10月、65歳の時に中皮腫で死亡。12年8月に労災認定を受けた。

 断熱材や耐火材などに使われた石綿は、吸引後15年から50年程度で中皮腫や肺がんなどを発症する恐れがあり、「静かな時限爆弾」と呼ばれる。国内の販売は禁止されたが、今も建物内に残り、阪神・淡路では清さんを含め、関連疾患で死亡した4人が労災認定された。タヨ子さんは報道で伝わる熊本の被災地が阪神・淡路の時と重なって見え、「困っている人を放っておけない主人だった。代わりに語るのは使命」とシンポでの報告を決意した。

 熊本県内で被災建物の公費解体は3月末現在、想定の41%、約1万4千棟が残る。厚生労働省は「原則、機材を使わず手ばらしで外し、破砕、切断しない」との石綿飛散防止策を呼び掛けるが、シンポで講演する中地(なかち)重晴・熊本学園大教授(60)は「現場で徹底できていない」と指摘する。

 タヨ子さんは「主人は石綿の怖さを知らず、マスクも着用していなかった。復興へと頑張る作業員やボランティアが、数十年後に悲しむようなことが再びあってはならない」と話す。

 シンポ「震災とアスベスト」は21日午後6時15分から、熊本市中央区の市国際交流会館で。無料。

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