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専用たばこを充電式ホルダーに差し込んで吸う「アイコス」。煙の代わりに白い蒸気が吐き出される=神戸市内(撮影・中西大二)
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専用たばこを充電式ホルダーに差し込んで吸う「アイコス」。煙の代わりに白い蒸気が吐き出される=神戸市内(撮影・中西大二)
アイコスの充電器(下)とホルダー
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アイコスの充電器(下)とホルダー

 火を使わず、煙や灰が出ない加熱式の新型たばこを巡り、路上喫煙や受動喫煙を禁じる自治体の間で対応が揺れている。「周囲を気にせず吸えたら」「火の不始末が心配」。そんな愛煙家らの心をつかみ、新型たばこは兵庫県内でも急速に普及。ただ受動喫煙による健康への影響は不明とされ、厚生労働省も明確な指針を示していない。(末永陽子)

 新型たばこの人気に火を付けたのが、フィリップ・モリス・ジャパン(東京)が昨年4月に全国発売した「アイコス」。専用たばこを充電式ホルダーに差し込み、加熱してから吸う。たばこ葉を電気で加熱し、依存性のあるニコチンを含む蒸気を発生させる。同社は「味わいは紙巻きたばこと多少異なるが、慣れると満足できる人が多い」とPRする。

 昨年末までの販売数は、ホルダーや充電器など定価9980円のセットが300万個を突破。同社によると、100万人以上の喫煙者が紙巻きたばこから完全に切り替えたという。国内の喫煙者は約2千万人とされ、その5%以上に相当。担当者は「自身の健康以上に、他人への配慮から切り替える人が多い」とみる。

 日本たばこ産業(JT)も昨年、加熱式たばこ「プルーム・テック」を福岡市で発売した。品薄が続くほどの人気ぶりで、数年後には全国展開を狙う。

 神戸市内の女性会社員(40)は、半年ほど前からアイコスを愛用。「服ににおいが付かず、周りに気を使わずに吸える。一度持ってくるのを忘れて紙巻きたばこを吸ったら、以前ほどおいしく感じなかった」と話す。

 一方、同市垂水区の男性会社員(32)は“否定派”だ。購入したが、「物足りなかった」ときっぱり。「充電式なので手間もかかる」。専用たばこは20本入りで1箱460円だが、別の男性会社員(45)は「ホルダーなどを合わせると初期費用が1万円を超える」と購入を見送った。

     ◇

 各メーカーは「タールなど有害物質は紙巻きたばこより少ない」とPRするが、健康への影響は科学的に明らかにされていない。たばこ事業法では「製造たばこ」に分類されるため、「法的には変わりはない」と強い拒否反応を示す嫌煙家も多く、新型たばこへの自治体の対応もまちまちだ。

 2008年から三宮・元町地区など指定区域での路上喫煙を条例で禁じる神戸市。「火によるやけどの危害やポイ捨ての防止が条例の目的なので、新型たばこは対象外」とする。

 これに対し、受動喫煙の防止条例を定め、大規模な飲食店や宿泊施設などの分煙を義務化した兵庫県は「法律上はたばこなので規制対象」と説明。京都市や横浜市なども規制している。

 神戸市灘区の女性会社員(37)は、新型たばこに切り替えてからも喫煙場所でしか吸わない。「見た目も普通のたばこと変わらないからか、カフェで吸おうとして注意された。新型たばこが普及しても、世間の嫌煙ムードは広がっている」と諦め口調だった。

■縮む市場喫煙5人に1人

 メーカーが新型たばこの開発に力を入れる背景には、紙巻きたばこ市場の縮小がある。

 日本たばこ産業(JT)によると、2017年の国内紙巻きたばこ販売は、前年比9・6%減の960億本となる見通し。1985年は3千億本を超えていたが、健康志向の高まりや増税による値上げなどの影響で減少傾向が続く。1千億本を割る予想は85年の民営化以来初めてという。

 喫煙率も右肩下がりだ。JTによる昨年5月の調査では、全国の成人喫煙率は男女合わせて19・3%(前年比0・6ポイント減)だった。うち男性は29・7%。ピークだった66年の83・7%から半世紀で54ポイント落ち込んだ。喫煙率が一番高かったのは40歳代の38・2%。

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