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だんじりの練り合わせで盛り上がる育波八幡神社の春祭り=4月9日、淡路市育波
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だんじりの練り合わせで盛り上がる育波八幡神社の春祭り=4月9日、淡路市育波

 全国の神社などで春祭りが本番だ。国生みの島として知られ、タマネギで有名な淡路島の北部、兵庫県淡路市育波の里地区では、春と秋のお祭りに、なんと「罰金制」が存在する。

 祭りは、宵宮と本宮の2日間、春と秋合わせて年4日催されるが、それぞれ、休むなら罰金として1万円を支払わなければならない-というものだ。その徴収役が、地元の男たちでつくる「青年会」である。

 もちろん、近親者が亡くなった場合などは免除される。でも、仕事やレジャーは認められない。都市部からみれば一見、理不尽にも思えるこの制度。始まったきっかけは、祭りの存続への危機感からだった。

 里地区は、ブドウや稲作が盛んな農村だ。しかし約30年前、少子化や勤め人が増えた影響で、重さ数トンの布団だんじりを上げる担ぎ手の不足に直面した。このままでは、だんじりを担ぐことはおろか、祭りの存亡に関わる。青年会は危機感を募らせ、欠席する会員に罰金を課す習わしが始まったというのだ。

 1998年4月、淡路島と本州を結ぶ明石海峡大橋が開通。育波には神戸淡路鳴門自動車道の北淡インターチェンジがあり、神戸まで車で20分で行ける。仕事を求めて島を離れる人がさらに増えた。それでも、地域の年配者たちは、若い世代にせめて祭りの日は帰ってきて、と願う。

 「祭りがなくなれば、地域そのものがすたれる」。今回の取材でよく聞いた声だ。脈々と受け継がれる罰金制は、故郷への愛情の“担保”なのかもしれない。(上田勇紀)

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 この記事は、神戸新聞創刊120年連載「新五国風土記」によるものです。これまでの記事はこちらでお読みいただけます。

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