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 異例の手続きを経て成立し、7月11日に施行される見通しの改正組織犯罪処罰法。犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨が盛り込まれ、「強引な警察捜査を招くのではないか」との危惧は根強い。兵庫県警の捜査関係者は「拡大解釈を重ねた治安維持法の時代とは違う」としつつ、「使えるものは使う」と歓迎する。国民に疑念を残したまま、新たな“力”が捜査当局に加わった。

 「逮捕後、急速に反対運動が終息していった」

 東日本大震災発生後の2012年、原発再稼働に反対するグループ約10人が、威力業務妨害などの疑いで大阪府警に逮捕された。その一人、伊丹市に住む市民運動家の男性(66)は「運動家だけでなく、(理論面を支えた)大学教員までも逮捕されたことに驚いた。萎縮効果を狙ったはずだ」と強調する。

 男性の逮捕容疑は公務執行妨害と器物損壊。押収された携帯電話のメールには、同級生らの名前を含む同窓会のやりとりがあった。「プライベートな生活まで警察に把握された」。勾留期間は210日。裁判の結果、公務執行妨害は執行猶予、器物損壊は無罪となった。

 「逮捕前でも、知らないうちに私的な部分まで情報収集される恐れがあるのが共謀罪」と男性。監視対象も「大学教員や弁護士、一般人へと広がっていくのではないか」と心配する。

 一方、過激派などを取り締まる公安部門の捜査経験がある兵庫県警の警察官は「今は国民が警察に向ける視線が厳しい。懸念されるような強引な捜査はできない」と話す。

 だが、一線を越えた捜査は過去にも繰り返されてきた。捜査対象者の車に衛星利用測位システム(GPS)を取り付けて監視する手法はその一例だ。裁判所の令状を取らない任意捜査として長年にわたり秘密裏に運用されていたが、最高裁は3月、「プライバシーを侵害し、令状がなければ違法」と判断した。

 この県警警察官は「爆発物や銃を取り締まる法律は既にある。共謀罪を活用する場面は想像しにくい」としつつ、「テロや事件を未然に防ぐのが私たちの役目だ。使える“武器”があれば使う」と言い切る。県警OBも「階級社会の警察では、上司の指示は絶対。体質は昔から変わらない」とし、「『共謀罪を使う』と組織が決めて走りだせば、仮に疑問に感じても内部は沈黙するだろう」とみる。

 暴力団など組織犯罪の事件を担当する捜査員は期待を隠さない。「例えば薬物事件では、犯罪の全体像が判明するまで監視を続ける『泳がせ捜査』が国内でも一部で認められているが、警察は米国のような『おとり捜査』は禁止されている」と説明し、「共謀罪で幅広い捜査手法がどこまで認められるようになるか、注目したい」。

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