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吉田由貴子さんが描いたスケッチと、香港旅行のために取得したパスポート=神戸市北区
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吉田由貴子さんが描いたスケッチと、香港旅行のために取得したパスポート=神戸市北区

 1967(昭和42)年6月18日、神戸市垂水区の山陽電鉄塩屋駅で、普通列車内にあった荷物が爆発、乗客2人が死亡、29人が負傷する惨事があった。事件は未解決のまま公訴時効を迎え、現場に事件を伝える痕跡は残っていない。発生からちょうど50年。初めて神戸新聞社の取材に応じた遺族は「犯人を捕まえたい気持ちは今も消えない」と、癒えることのない悲しみ、悔しさを抱え続ける。(杉山雅崇、小西隆久)

 当時の神戸新聞などによると、午後2時ごろ、塩屋駅に停車しようとした兵庫発姫路行き列車内で、網棚にあった手荷物が爆発。真下に座っていた相生市那波野のアルバイト吉田由貴子さん=当時(24)=と、近くにいた神戸市須磨区の主婦=当時(39)=の2人が死亡、乗客29人が重軽傷を負った。

 兵庫県警は、手製の時限爆弾と判明した爆発物の遺留物捜査を中心に、延べ8万7千人を投入したが、容疑者を特定できず、82(昭和57)年に公訴時効が成立した。

 当時、東京の地下鉄銀座線京橋駅の電車内で爆発が起き、10人が負傷した「草加次郎事件」(63年)や、死傷者15人を出した「横須賀線爆破事件」(68年)など、列車爆破が相次いで発生。74年の警察白書では「大量輸送時代」に突入したことなどが時代背景に挙げられた。

 犠牲になった吉田由貴子さんの姉、山上真佐子さん(80)=神戸市北区=は、乗客の命を脅かす事件が起きるたび「あの日を思い出して胸がざわつく。もう繰り返してほしくない」と心から願う。

 最近でも2015年6月に東海道新幹線の車内で、男=当時(71)=がガソリンをまいて焼身自殺、乗客1人が巻き込まれて死亡する事件が起きた。「列車に乗っただけなのに、なぜ」。理不尽な死への疑念は尽きない。

■危険物の車内持ち込み、検査実現には障壁

 事件の発端となる危険物の車内持ち込みについては、今も鉄道各社にとって対策が難しい課題となっている。東京五輪なども見据え、車内の事件対策に本腰を入れるべきとの声が専門家から上がっている。

 2015年6月に東海道新幹線車内で男性が焼身自殺し、巻き込まれた乗客1人が死亡した事件を受け、JRや私鉄各社は17年4月、ガソリンなど可燃性液体の車内持ち込みを禁止した。一方、飛行機搭乗前のような手荷物検査の導入は見送った。「飛行機に比べて列車の輸送量は桁違いに多い。人や物の滞留で経済的な損失も大きく、現実的ではない」と、関西大の安部誠治教授(公益事業論)は解説する。

 一方で安部氏は「火薬や可燃性液体を検知するシステムを改札に設置するなどすれば、ある程度の対策にはなる」と指摘。さらに空港職員と同様に「JRなど鉄道社員に手荷物検査の法的権限付与を検討すべきだ」と訴えている。(小西隆久)

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