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六甲全山縦走路の一部「馬の背」。狭い岩場の尾根が続く難所=神戸市須磨区
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六甲全山縦走路の一部「馬の背」。狭い岩場の尾根が続く難所=神戸市須磨区
六甲全山縦走路を測ったロードメジャーを手にする守屋益男さん(右)と、完成した地図を広げる次男二郎さん=神戸新聞社
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六甲全山縦走路を測ったロードメジャーを手にする守屋益男さん(右)と、完成した地図を広げる次男二郎さん=神戸新聞社
六甲全山縦走路の距離を、巻き尺で測った際の資料を手にする神戸ヒヨコ登山会の吉野宏会長=神戸市灘区王子町2、神戸登山研修所
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六甲全山縦走路の距離を、巻き尺で測った際の資料を手にする神戸ヒヨコ登山会の吉野宏会長=神戸市灘区王子町2、神戸登山研修所
六甲全山縦走大会の完走者に贈られる認定証の文面では「56km」となっている=神戸市中央区、神戸市役所
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六甲全山縦走大会の完走者に贈られる認定証の文面では「56km」となっている=神戸市中央区、神戸市役所

 六甲山系の山々を須磨浦公園(神戸市須磨区)から宝塚市まで歩く「六甲全山縦走大会」。その縦走路の距離は長らく公称「56km」とされてきた。ところが、今年6月に改訂された神戸市の地図では「53キロ」。登山家が実測し、最近発行した地図では「47キロ」台になっている。一体どれが正しいの? (小林伸哉)

 同大会は神戸市が1975年に始め、2年後から「六甲全山縦走市民の会(市民の会)」と共催。毎年11月に開催され、昨年の完走率は参加者3573人のうち83・8%だった。

 完走者に贈られる認定証には「56kmを完走されました」とあり、神戸市のホームページでも縦走路の距離は公称「56km」だ。

 その根拠について市の担当者に尋ねてみた。「数字や区間距離は引き継がれてきたが、記録が残っておらず、正確な由来は分からない」

 「えっ?」

 第1回大会から運営を支えてきた市民の会の畠岡稔雄(としお)副会長(79)は「登山経験豊富な初代会長らが『56km』で一致し大会が始まった。当時は計測機器もなく、六甲を歩き抜いた体験から導き出したのでは」と回想する。

 市によると、衛星利用測位システム(GPS)の普及に伴い、登山者から「実際はもっと短いはず」との指摘があるという。担当者も「厳密に正しい距離でないことは分かっている」。

 それではなぜ「56km」を使い続けるのか?

 「大切なのは距離より、六甲全山を1日で踏破すること」と市の担当者。距離を正確に測るには時間や費用もかかることから、近年は地図などに「50数キロ」とも表記しているという。

     □

 そんな中、実際に歩いて計測したという登山家で、日本勤労者山岳連盟の元会長の守屋益男さん(81)=岡山市=に出会った。

 六甲山系の地図を作るため、神戸のボランティアらと2年前から、地面を走らせた車輪の回転数から距離を示すロードメジャーで踏査した結果は「47・805キロ」だった。

 ネット上ではGPSの利用で45キロ台を提唱する意見もあるが「GPSは斜面や曲がり角を正確に測ることができず、距離が短く出る傾向がある」と守屋さん。山道の傾斜に沿う「のり面距離」を記した「六甲山系登山詳細図」を出版し、「正確な距離表示は登山の安全上重要。神戸市は正しい数字を示した方がいい」と指摘する。

     □

 それでは6月に改訂した市発行の地図はなぜ「53キロ」になっているのか。

 地図を丹念に見ると、全長53キロの記載はない。踏破区間の距離をすべて足し込むと合計で53キロになっている。市の担当者は「スタート位置が塩屋駅から須磨浦公園へと変わったり、途中で橋が架かって距離が短くなったり、変遷を重ねてきたため」と説明する。

 市から地図製作を受注した業者は今回、国土地理院の地図を基に、実際に歩き、GPSなどで確かめた経路などから、パソコンソフトを使って製図。算出された水平距離は44・186キロだったという。改訂版にこの距離の掲載を提案した。

 ところが市は「水平距離は実際に歩くより短い。毎年遭難者が出る六甲山系を甘くみて、十分な体力と装備なしに、安易に歩くことになれば危険。距離の表示変更は、市民の会との議論も必要」として、今回の改訂版に反映しなかった。

     □ 

 神戸ヒヨコ登山会の吉野宏会長(73)らは17年前、巻き尺で「のり面距離」を測定。現在の縦走路と異なる塩屋駅出発のルートで測ったが、その結果は「47・611キロ」。守屋さんの数値とほぼ一致した。

 それなら公称を47キロにしてはどうか-。

 しかし、吉野さんは首を振る。「56キロは先人が苦労して歩んだ六甲登山の歴史が刻まれた数字。『全縦を制覇する』って私らの青春時代は燃えた。あこがれ、シンボルが『公称56km』。これでいいんです」

 ■「新説」反映地図販売

 守屋益男さん作成の「六甲山系登山詳細図」は、縮尺が1万2500分の1で詳細。市販される他社の地図に載っていない経路も掲載。西編と東編があり、各88コースを載せて900円(税別)。首都圏や関西の書店などで販売。吉備人出版TEL086・235・3456。神戸市発行の「六甲全山縦走マップ」は、遭難防止に役立つ「Nコード」を初めて採用。1部400円(税込み)。市総合インフォメーションセンターで販売中。同市文化交流課TEL078・322・5166

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