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共謀罪の問題点などを語る内田博文・九州大名誉教授=神戸市中央区港島1、神戸学院大
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共謀罪の問題点などを語る内田博文・九州大名誉教授=神戸市中央区港島1、神戸学院大

 犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が11日、施行された。国会審議では捜査機関による恣意的な運用の恐れが指摘され、懸念は今も払拭されないままだ。「萎縮したら政府の思うつぼ」。法学者や市民運動に参加する若者らは警鐘を鳴らす。

 「今の雰囲気は戦前を思い起こさせる」。刑事法が専門で、神戸学院大で非常勤講師を務める内田博文・九州大名誉教授(70)は、「共謀罪」法が施行された現状を、戦争体制を支えるための法整備が進んだ戦前に重ね合わせる。

 戦前は左翼思想を取り締まる治安維持法(1925年)に続き、軍事上の秘密を守る改正軍機保護法(37年)、すべての人的・物的資源を戦争のために充てられる国家総動員法(38年)が相次ぎ制定された。その流れが、2013年の特定秘密保護法、15年の安保関連法制定によく似ているという。安倍政権はその先に憲法改正も視野に入れる。

 治安維持法は改正や拡大解釈を重ね、当初は「非合法左翼」だけだった取り締まりの対象が、労働組合や研究会、サークル活動にまで広がった。「普通の人の、普段の生活まで監視された」と内田さん。活動家を自宅に泊めたり、妻が共産党幹部の夫のために家事をしたりするだけで罪に問われたこともあったという。

 政府は共謀罪の目的に「テロ対策」を挙げ、「一般人は対象に含まない」とするが、国会審議では疑念は払拭されないままだ。対象となるかどうかの線引きは捜査側に委ねられ、「権利を訴える住民運動まで規制される恐れがある」と内田さんは指摘する。

 最近でも捜査当局が住民運動を監視していたケースはあるという。名古屋市では昨年、マンション建設に反対する住民らの個人情報を警察が集め、建設会社に提供していた。裁判の結果、建設会社に情報を渡す行為は違法とされたが、「共謀罪の捜査の一環となれば合法化されかねない。一般人も決して無関係とは言えない」と強調する。

 国民を萎縮させ、疑心暗鬼を生む-との指摘もある共謀罪。内田さんは「今は戦前と違い、憲法に基づいて共謀罪の違憲訴訟を起こすこともできる」とし、こう続けた。「『国家による監視』が進むなら、私たちは国家の活動を監視する必要がある。萎縮せず、声を上げ続けることが大切だ」(田中陽一)

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