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伝え歩きをしながら自宅を移動する村田富士夫さん=神戸市須磨区
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伝え歩きをしながら自宅を移動する村田富士夫さん=神戸市須磨区

 体が不自由な有権者のため選挙の投票所のバリアフリー化が進むが、その投票所にたどり着くことさえ難しい人たちがいる。2日投開票の兵庫県知事選でも、介護保険制度の要介護度は低いものの1人では外出できず、投票を諦めかけていた男性に出会った。重度障害者や要介護5の有権者らに対しては「郵便投票」が認められているが、要介護2の男性は対象外。専門家は「結果的に投票から排除されている」と指摘する。(阪口真平)

 神戸市須磨区の村田富士夫さん(68)。肝臓の機能低下による「肝性脳症」の後遺症で約3年前から脚が不自由となった。自力で立てるのはほんの数秒で、伝え歩きがやっと。日中のほとんどを自分の椅子で過ごす。5メートル先のトイレに行くのに約2分かかり、日々の買い物はインターネット通販で済ませる。

 要介護4の妻(68)と2人暮らし。長女は結婚して別居し、仕事も子育ても忙しく気軽に頼めない。市選挙管理委員会は体が不自由な人にはバリアフリーとなっている期日前投票所での投票を勧めるが、村田さんの場合、約5キロ離れた同区役所。介護保険が利用できるのは車の乗降の介助までで、タクシー代は自己負担となる。昨年7月の参院選は投票を諦めたといい、「私の選挙権、どこいったんやろ」と口にした。

 知事選の期日前投票期間中だった6月下旬、村田さんに同行した。村田さんは約5分かけて車の助手席に乗り込み、区役所へ。到着後は用意された車椅子で移動し、車椅子用に低くなった記入台で投票用紙に候補者名を書き、順調に投票を終えた。「久しぶりの投票で、雰囲気を思い出した。うれしかった」と村田さん。しかし、行き帰りも含め、投票に約1時間半かかった。

 投票に行けないという有権者からの相談は、同市選管にも選挙のたびに複数寄せられるという。対象者の限定について、総務省の担当者は「投票日に投票所で投票することが原則。投票の秘密を守ることや1人1票の原則など公正さを確保するためにはやむを得ない」とする。

 【民主主義の信頼に関わる】関西学院大の山田真裕教授(政治学)の話 最も行政の手助けが必要な有権者が、投票権を行使できないのには問題がある。人権の尊重に重きを置いている日本社会で、結果的に排除されることは民主主義の信頼に関わる。全国で議論し、措置を講じる必要がある。

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