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淡路島で開催中のドラクエのイベントに出演した堀井雄二さん(右)=7月15日、洲本市(撮影・渡辺裕司)
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淡路島で開催中のドラクエのイベントに出演した堀井雄二さん(右)=7月15日、洲本市(撮影・渡辺裕司)
「郷土愛は強いと思う」。インタビューで語る堀井雄二さん=東京都新宿区(撮影・大盛周平)
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「郷土愛は強いと思う」。インタビューで語る堀井雄二さん=東京都新宿区(撮影・大盛周平)

 「ドラゴンクエスト」シリーズの生みの親として知られる兵庫県洲本市出身のゲームデザイナー堀井雄二さん(63)=東京都=が神戸新聞社のインタビューに応じ、淡路島への思いを語った。いたずら好きの「いちびり」で、漫画家を志した幼少期の体験がゲーム制作に生かされ、自然豊かな故郷の風土がドラクエの世界観につながっているという。(小川 晶)

 インタビューでの主なやり取りは、次の通り。

■幼少期の記憶

 -18歳まで過ごした淡路島。子どものころはどんな遊びをしていましたか。

 「洲本城跡でね、観光客が、ちっちゃいお皿を投げるんですね、『かわらけ』っていう。それを拾い集めて、売ってる御茶屋に持っていくと買い取ってくれるんですよ。ジュース代ぐらいにはなりましたね」

 「そういう意味じゃね、いろんな物、投げてましたね。家を建てた棟上げのときなんか、屋根からみんな餅を投げてて。みんなで拾って帰るんですよ。土が付いてても、気にしない、みたいな」

 -海や山に囲まれ、豊かな自然の中で育ったんですね。

 「自転車で5分ぐらいのところに海があって。海水パンツで泳ぎに行って、そのまま帰ってきて風呂に入る、みたいな感じで。貝とか捕って、焼いて食ってましたね」

 「山だったら、洲本城跡がある三熊山。先山も、日の出を見に友達と登ってましたね、正月に」

 -家にこもるよりも、外で遊ぶ方が多かったのですか。

 「半々ですね。家の裏に貸本屋があって、出てる漫画は全部読んでましたね。月刊誌だったら、『ぼくら』『少年ブック』『少年画法』。印象に残っているのは『巨人の星』とか『あしたのジョー』とか。特に覚えているのが、手塚(治虫)さんの『ふしぎな少年』です。時間を止めたり、4次元の説明があったり、子供心に夢があった記憶があります」

 「漫画家になりたくて、中学生の頃から書いてました。SFっぽいジャンルで、ただ、あまり完結してなかった。洲本高校でも漫画研究会に入って、永井豪さん(『デビルマン』などの著者)を訪ねていったこともありました」

■ドラクエ

 -大学は早稲田大学の文学部に進学しましたね。

 「漫画家志望だったんで。私立文系の中で、社会の代わりに得意の数学で受けられるところを選びました。覚えるのが苦手なんで、社会は無理。数学って、覚えなくても、考えれば何とかなったので」

 「大学でも漫画研究会に入って、卒業後も漫画を書いたりライターをしたりしてました。27歳のとき、たまたま読んだ新聞の記事がきっかけでコンピューターが面白そうだと思って、プログラムを勉強しました」

 -それ以降は、漫画ではなくゲームの世界に。

 「僕にとっては、ゲーム自体が漫画みたいなもんだった。コンピューターを使って何かお話をと思って作ったのが『ドラゴンクエスト』や『ポートピア連続殺人事件』だったんです」

 「ドラクエなんて、せりふだけでストーリーが進んでいくんですよ。これって、漫画の方式なんですよね。吹き出しだけで。せりふも、あまり長いと読まないんで短くという漫画の吹き出しの原則が役に立っている」

 -ドラクエのキャラクターやマップなどで、淡路島での生活から採用したものはありますか。

 「家から海も山も川も近かった。そういうミニチュアの地形というか、箱庭的なところがアイデアにつながっているかもしれませんね」

 「小さい頃、三熊山に分け入って、崖を下りていったらほこらを見つけて。競馬場の跡なんかもありましたね。『あ、こんなものがあったんだ』っていう“わくわく”も生かされています」

 -ドラクエ7の最初の島は、淡路島のイメージではないんですか。

 「あれは…、モン・サン・ミッシェル(フランスにある世界遺産)だったな。ドラクエシリーズで、淡路島と一対一で結び付くものはないかな」

 -一方で、ドラクエに先駆けて発表したアドベンチャーゲーム「ポートピア連続殺人事件」には、「はなくま」や「しんかいち」、「すもと」など兵庫県ゆかりの地名が出てきます。

 「人にやってもらうゲームとして作った最初の作品だったんです。せっかく作るんだったら、親しみがあった地元を舞台にしようと思って。架空の地名でとは考えなかったですね。『火曜サスペンス劇場』を意識したんですよ。実在の場所に行って撮影するじゃないですか」

 「『ポートピア』のタイトルは、(1981年の)博覧会のイメージで。神戸、かっこよかったですね。(ストーリーの中心になる)『はなくま』は、神戸を訪れたとき、神戸高速鉄道の花隈駅がなかなか見つからなくて、すごい迷った記憶があるんですよ。それで印象に残ってたから採用しました」

■故郷への思い

 -ドラクエの魅力の一つに、プレーヤーをドキッとさせる「小ネタ」がありますよね。突然「泥棒」と呼ばれたり、王様と入れ替わったり。

 「僕ね、いたずらが好きなんですよ。『いちびり』って言われてたんで。『調子もん』ということですね」

 「子どものころ、テレビが漏電してて、触るとビリビリすることがあった。それがおもしろくて、エナメル線をつないでね、家族に『触れ』って驚かして。家中、停電しちゃいましたけど」

 「今も、いちびりなところは変わってないですね。ゲームをやっている人が、どうすればびっくりするか、いつも考えています。最新作のドラクエ11でも、主人公が『悪魔の子』と呼ばれていたという設定は、そういうところから来ているんですよ」

 -今も淡路島には戻ってきていますか。

 「年に2回くらいは帰ってますね。幼なじみだった靴屋の息子に会ったり、高校の時に行ってた喫茶店でナポリンタンを食べたり。去年の夏は、一人で近所の海に行って泳ぎました。自転車でぶらっと。誰にも気付かれませんでしたね」

 「東京で暮らしていても、淡路島のことを思い出すことがあるんですよ。商店街を通ったら『実家の商店街を通って友達の家に行ったな』って。祭りがあれば、『子どもの頃に阿波おどりを踊ったな』とか」

 「でも、故郷の商店街もさびしくなりましたね。半分ぐらいシャッターになってしまって。お好み焼きとか土手焼きが好きで、よく通ってた店があったんですけど、なくなっちゃいましたしね」

 -忙しい中で帰省したり、洲本市にふるさと納税をしたり。

 「地元愛が強いのかもしれませんね。なんか懐かしいんですよね。淡路島という土地が。(8月7日まで洲本市周辺で開催中の)『ドラゴンクエストミュージアムセレクションズ淡路島・洲本』も、少しでも盛り上がってくれたらという気持ちがあります」

 -今後、もし淡路島や兵庫県を舞台にしたゲームを作るとしたら。

 「『ポートピア連続殺人事件2』でしょう。犯人はやっぱりヤス(『ポートピア連続殺人事件』の犯人役)でしょう。実際に、3割ぐらい作ってもいいかなって思ってるんですよ。新しい形のアドベンチャーゲームが作れたらって」

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