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 兵庫県警が2016年に摘発した殺人事件(未遂も含む)のうち、63%が親族間で起きていることが県警への取材で分かった。親族間殺人の割合は増加傾向にあり、専門家は「近所付き合いをせず、孤立する家族が増えているからでは」などと指摘する。神戸市北区の5人殺傷事件は30日で発生から2週間。祖父への殺人容疑で逮捕された竹島叶実(かなみ)容疑者(26)の暮らしぶり知る近隣住民はほとんどおらず、県警有馬署捜査本部は惨劇の背景について慎重に調べている。

 県警によると、16年に摘発した殺人事件は40件で、被害者が親族だったのは25件。摘発件数は07年の68件から年々減っているが、親族間殺人は16~33件で平均25・8件と、ほぼ横ばいで推移しており、その割合は次第に大きくなっている。

 県内では04年8月に加古川市で40代の男が親族や近隣の7人を刺殺。13年2月には加古川市で40代の男が同居の父親と弟をバットで殴るなどして死亡させ、母親にも重傷を負わせた。

 16年2月には赤穂市で、19歳の少年が金銭への不満から養父母を刺殺。同年3月には芦屋市で男子高校生が学校の成績などを注意された母親を刺殺した。

 警察庁によると、殺人事件に親族間の割合が増加しているのは全国的な傾向で、16年は摘発した770件の55%に上った。14年に父母が被害者となったケースについて加害者の動機を調べたところ、「不仲・トラブル」と「心神喪失等」が各29%を占め、介護疲れや金銭困窮による「将来を悲観」が23%と続いた。

 今回の事件で、竹島容疑者は16日朝、自宅で祖父の南部達夫さん(83)を金属バットで殴打後、馬乗りになって何度も包丁で刺すなど親族3人を襲った直後、近所で見掛けた辻やゑ子さん(79)ら女性2人も殺傷したとみられる。

 これまでの調べに、竹島容疑者の母は「家族にトラブルはなかった」と説明。同容疑者は「身内でも誰もいいと思った」という趣旨の供述をしているといい、同本部は事件前の家庭状況や動機について解明を急いでいる。

■近所付き合い減/新潟青陵大学大学院の碓井真史(うすい・まふみ)教授(社会心理学)の話

日本は欧米に比べるとただでさえ家族の絆を大切にする分、警察に通報するようなトラブルがあっても身内で収めようとしがち。地域の付き合いが減り、相談もできずに孤立を深める家庭は増えている。子どもが親子げんかや家出といった手段を取らず、親に直接危害を加える事件は、先進国の中流以上の家庭で起きやすい。周囲が悩みを聞いたり、フォローしたりする環境づくりが求められる。

■少子化も一因/関西福祉科学大学の相谷登教授(犯罪心理学)の話

 子どもが親を襲う一因とみられるのが少子化の影響だ。かつて兄弟げんかなどを通じて学んだ感情のぶつけ方や手加減を知らずに育つ子どもが増えている。親離れ、子離れができない親子関係も増えている。就職の失敗などを契機に、子どもが親に責任転嫁したり、自分を抑えつける存在だと感じたりして感情や暴力性が常軌を逸してしまう。自立心が芽生える家庭環境をつくることが大切だ。

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