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会場に並ぶ女優サラ・ベルナールの演劇ポスター。右端が「ジスモンダ」(1894年)=美術館「えき」KYOTO
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会場に並ぶ女優サラ・ベルナールの演劇ポスター。右端が「ジスモンダ」(1894年)=美術館「えき」KYOTO

 世紀末のパリで、アールヌーボーを代表する芸術家として活躍したアルフォンス・ミュシャ(1860~1939年)。今年は東京や滋賀で回顧展が相次ぎ、さながら「ミュシャ・イヤー」。京都市下京区の美術館「えき」KYOTOでは、故国チェコの個人コレクションを基に作品展「ミュシャ展~運命の女たち」が開かれている。(堀井正純)

 女性を描く繊細優美なポスター芸術で日本でも人気が高い。グラフィックデザイナーの先駆的存在として知られるが、母国では国民的画家である。今春、東京で開かれた回顧展では、スラブ民族の栄光と苦難を主題にした歴史画の連作「スラヴ叙事詩」全20作が初来日。「歴史画家」としての偉大さがクローズアップされた。

 本展では「スラヴ叙事詩」関連の習作や資料も並ぶが、中心はポスターや挿絵などグラフィックアート。油彩画や水彩画、素描も交え約150点を展覧する。ウィーンでの修業時代、絶頂期といえるパリ時代、短い米国時代、晩年のチェコ時代と、ほぼ時代順に生涯と仕事を振り返る。

 画家志望のミュシャは1887年にフランスへ。パリの画塾で学んだが、支援者の援助が途絶え、挿絵など装飾美術の仕事で生活するようになる。このころ、画家ポール・ゴーギャンやモーリス・ドニらと交流を深めた。

 運命を変えた1枚は、94年末に制作。人気女優サラ・ベルナール主演の演劇「ジスモンダ」の巨大な公演ポスターだった。クリスマス休暇で多くのデザイナーたちが出払う中、急遽(きゅうきょ)、ミュシャに依頼が舞い込んだという。街角を飾ったポスターは大評判となり、ミュシャは一躍、「時の人」となった。彼女のために衣装や宝飾品、舞台装置も創作。「サマリアの女」「椿姫」など、一連のベルナールの公演ポスターは傑作ぞろいで、女優の優美さや凜(りん)とした風格と、華麗な装飾性が混然一体となった美を示す。

 アールヌーボーはフランス語で「新しい芸術」を意味する芸術様式で、花や草木などをモチーフにした曲線的な装飾デザインが特徴。ミュシャは、その旗手ともいえる存在となり、大きな成功を収めた。

 1910年にチェコへ帰国し、17年がかりで連作「スラヴ叙事詩」を制作。祖国のため、無償で紙幣や切手、国章などのデザインも手掛けた。今回は「スラヴ叙事詩」は出展されないが、その習作のほか、油彩画「エリシュカ」や、素描の数々を見れば、画家としての高い技量を実感できるだろう。たぐいまれなデザイン感覚が、ミュシャ芸術の根幹にあるが、挿絵やポスターの仕事も、画家として身につけた技術・手法を巧みに応用した結果なのだと理解できる。

 26日まで。会期中無休。一般900円、高校・大学生700円、小・中学生500円。JR京都駅ビル内。同館TEL075・352・1111(代表)

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