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観光客らでにぎわう有馬温泉街。足湯は外国人旅行者にも人気だ=神戸市北区有馬町(撮影・後藤亮平)
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観光客らでにぎわう有馬温泉街。足湯は外国人旅行者にも人気だ=神戸市北区有馬町(撮影・後藤亮平)

 住宅に有料で客を泊める「民泊」を巡り、国と自治体の温度差が顕在化している。国は2020年の東京五輪も見据え、外国人観光客の誘致策として普及をもくろむが、自治体側は近隣トラブルなどを懸念。民泊営業を全国的に解禁する法律が来年6月に施行されるのを前に、営業できる地域や期間を独自に規制する条例制定の動きが全国に広がっている。兵庫県も2月、条例案を県議会に提出する方針だ。(前川茂之)

 政府は16年に初めて年間2千万人を突破した訪日外国人旅行者数を、20年に4千万人まで増やす目標を設定。都市部で慢性化している宿泊施設の不足を補う存在として民泊に着目し、今年6月、民泊の基本的なルールを定めた住宅宿泊事業法(民泊新法)を成立させた。

 ただ、騒音やごみの捨て方などで近隣住民とトラブルを引き起こすケースが多発しており、民泊を“迷惑施設”と捉える自治体は多い。新法は都道府県などに届けた家主に年180日以内の民泊営業を認めるが、自治体が地域の事情に応じ、条例で営業日数などを制限しようとする動きが加速している。

 兵庫県が策定中の条例案も「地域の生活環境を悪化させるおそれがある」ことを理由に、学校や保育所周辺のほか、温泉地や民宿などの周辺地を指定し、営業できる日数に上限を設定する方針。きょう25日にもパブリックコメント(意見公募)を開始する。

 民泊営業を条例で規制できるのは都道府県のほか、政令指定都市、中核市など。県内の神戸、尼崎、西宮、姫路市はいずれも制定を予定している。ただ、観光庁の16年宿泊旅行統計調査によると、客室の稼働率は兵庫県は57・5%にとどまっており、4市の担当者は「民泊に需要があるとは思えない」と口をそろえる。

 民泊には、ホテルや温泉旅館など既存の宿泊業者の反発も強い。有馬温泉観光協会(神戸市北区)の金井啓修(ひろのぶ)会長(62)は「常駐の管理者がいないと、中で違法なことをしていても分からない」。さらに「消防法で縛られる旅館などと違って、民泊は防火設備も整っていない」と安全面での懸念を口にする。

 観光庁は「多様な宿泊ニーズを満たすことで、地域も活性化するはず」とするが、神戸市の担当者は「まずは既存の宿泊施設への誘導を優先する。突然、隣に民泊ができて喜ぶ市民はほとんどいない。国の方針は現場の声を全く理解していない」と批判している。

■全国5万件、実態把握は困難

 民泊は国家戦略特区に指定された地域などで5年ほど前から広がった。現在5万物件前後が営業しているといわれるが、違法営業も多く、正確な数は分かっていない。

 自治体側の規制の先駆けとなったのは「特区民泊」を展開していた東京都大田区だ。近隣住民から多数の苦情が寄せられているとして、今月8日、住居専用地域などでの営業を全面禁止にする厳しい条例を全国で初めて成立させた。11日には新宿区が住宅地での営業日を週末に限定する条例を制定。兵庫県のほか、北海道や長野県、奈良市なども独自に規制する条例の準備を進めているという。

 こうした動きに対し、国は民泊を普及させるという新法の趣旨に逆行しかねないとして、全国の自治体担当者を集めた説明会を19日に開催。年間を通じた営業禁止は「法の目的を逸脱している」とけん制した。

 さらに「制限が行えるのは、周辺地域の生活環境が悪化するおそれがある場合に限られる」などとするガイドライン案を提示。民泊推進に協力を呼び掛けた。(前川茂之)

【住宅宿泊事業法】急増する訪日外国人の受け皿として期待される「民泊」の基本的なルールを定めた法律で6月に成立した。家主には民泊住宅と分かる標識の掲示や宿泊者名簿の作成、定期的な清掃などを義務付けた。違反した家主には業務停止命令などを出し、従わない場合は6月以下の懲役か100万以下の罰金を科す。無届け営業は旅館業法違反に問われる。

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