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 暴力団事務所の使用差し止め訴訟を暴力団追放兵庫県民センターが住民に代わって起こせる「代理訴訟」を巡り、兵庫県がふるさと納税制度を活用した助成を始める方針を固めた。提訴に向けては、暴追センターに委託する住民の数が一定程度必要になるが、訴訟費の負担が大きな課題だ。さらに「名前が漏れて報復されないか」といった不安から二の足を踏む住民もいる。暴力団排除の機運を盛り上げるには、行政の支援に加え、住民の安全を守るという制度への理解を広げられるかが鍵になる。

 組事務所の使用差し止めや退去を迫る訴訟の根拠になるのは「住民の日常生活が脅かされている」という「人格権の侵害」だ。

 警察庁によると、住民たちが人格権に基づいて直接訴訟を起こしたのは1987~2011年に計24件あり、全件が和解するなどして解決した。だが、06年11月に神戸市長田区で住民らが指定暴力団山口組系事務所を立ち退かせた訴訟では、住民代表が組員につけ回されたり、自治会長に不審な電話が寄せられたりと嫌がらせもあった。

 そのため住民の安全を守りながら訴訟を起こせるようにしたのが代理訴訟制度だ。13年の改正暴力団対策法で導入され、15年に山口組の分裂騒動が起きて以降、全国で申し立てが相次ぐ。警察庁によると、昨年1年間だけで6件と急増し、これまでの計10件のうち係争中などを除く8件が認められた。

 暴追センターによると、代理訴訟ではセンターが原告となるため、住民の氏名が法廷で明らかにされることはない。裁判所に提出されるのは、警察や行政でないと照会できない免許証や健康保険証の番号という。

 訴訟では暴力団側が住民に証人尋問や口頭弁論を求めるケースも想定される。だが、全国で暴力団を相手取った訴訟を手掛ける垣添誠雄弁護士(尼崎市)は「住民保護を前提とした制度で、裁判所が住民の出廷を認めることはありえない」と話す。

 暴追センターに委託できるのは暴対法上「付近住民ら」と定義される。目安は対象となる事務所の「半径500メートル以内」。居住者だけでなく、その範囲内にある学校や職場に通う人も委託することができる。申し立ては希望する住民が1人でも可能だが、「人格権の侵害」を立証するため、数人から数十人が必要という。

 弁護士費用などは住民が支払うが、近年は公的機関の助成金などでまかなわれ、大きな負担が及ばないケースが増えている。暴追センターでは一時立て替え用に昨年4月時点で600万円を積み立て、昨年10月に認められた指定暴力団神戸山口組本拠地事務所(淡路市)の使用差し止め申請でも適用。淡路市は支払いの一部負担を検討している。

 垣添弁護士は「暴力団事務所の撤去は地域だけでなく、自治体の責務でもある。住民の金銭負担が減れば、多くの地域で機運が高まるはずだ」と話している。

 暴力団追放兵庫県民センターTEL078・362・8930(ヤクザ・ゼロ)

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