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仕立て直した消防服を着た小学生と並び笑顔を浮かべる藤井由美子さん(中央奥)=丹波市柏原町母坪、丹波市消防本部
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仕立て直した消防服を着た小学生と並び笑顔を浮かべる藤井由美子さん(中央奥)=丹波市柏原町母坪、丹波市消防本部

 兵庫県丹波市消防本部で火災や救急に奔走した職員が長年使い込んだ制服を、洋服リフォーム店を営む藤井由美子さん(61)=同市山南町=が小学低学年向けの子ども服に無償で仕立て直した。保管されていた退職職員の消防服とともに、2010年に56歳で亡くなった藤井さんの夫で元同本部消防長、明さんのベルトも使った。藤井さんは「道半ばで逝った主人の思いを生かしたい。袖を通す子たちから未来の消防士が生まれたら」と願う。(岩崎昂志)

 仕立て直したのは、消防隊員の活動服▽救助隊員の救助服▽救急救命士の救急服-の3種類計7着。退職者が同本部に返却した服を裁断して縫い合わせ「丹波市消防本部」などの刺しゅうを残しつつ、身長120センチのサイズにした。

 同本部を指揮した明さんは、温厚な性格で何より職場の和を大切にする人だった。病気で約7カ月の入院生活を経て亡くなった後、藤井さんは消防署を訪れたことがなかった。深い悲しみを徐々に癒やし、昨年に七回忌を済ませてからようやく「何か残せるものがあれば」と思い始め、特技を生かす子ども服リフォームを提案した。

 昨夏、受け取った消防服の中に、明さんの名前のシールを貼ったベルトがあった。「またここで出会えたね」。こらえきれず大粒の涙を流しながら、夜遅くまでミシンを動かした。

 同本部には今も、明さんと同時に採用された12人がおり、現消防長の小森康雅さん(57)ら現役幹部もいる。「思いを受け止めたい」と藤井さんに感謝状を贈り、イベントなどへの子ども用消防服の貸出規定を作った。自治会の防災訓練などでも役立てるという。

 長女圭子さん(32)は看護師、長男徹さん(30)は救急救命士と、2人とも人命に携わる道を歩んでいる。「仕事一筋の主人は、家では仕事の話をしなかったけど背中を見ていたのかな」と藤井さん。

 今月5日、消防本部を見学に訪れた同市立東小学校4年生の児童たちが袖を通した。「かわいい。感無量です」。小さな背中を眺める藤井さんに、晴れやかな笑顔が広がった。

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