総合 総合 sougou

  • 印刷
子どもたちを前に演奏するPACのメンバー。左から第1バイオリン、第2バイオリン、ビオラ、チェロ=明石市二見町西二見、明石市立二見西小学校
拡大
子どもたちを前に演奏するPACのメンバー。左から第1バイオリン、第2バイオリン、ビオラ、チェロ=明石市二見町西二見、明石市立二見西小学校

 兵庫県立芸術文化センター(兵庫県西宮市)の専属プロオーケストラ「兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)」が、県内の小学校と特別支援学校向けに特化したアウトリーチ(訪問演奏)に取り組んでいる。鑑賞スタイルのミニコンサートではなく、それぞれの楽器の役割や曲のイメージの一例を紹介し、子どもたちがより豊かに音楽を聴けるよう趣向を凝らす。1月末、弦楽四重奏の4人グループが、明石市立二見西小学校を訪れ、5年生の授業を行った。(松本寿美子)

 「私がお姫様よ」。バイオリン奏者の柳響麗(リュウヒャンリョ)さんは声を上げると、ふわふわなピンクの毛が愛らしいティアラを頭に飾った。

 弦楽四重奏とは、バイオリン2丁(てい)と、バイオリンよりも少し大きなサイズで、低い音が出るビオラ1丁、さらに大きく、より低音のチェロ1丁で演奏する。

 柳さんは、2丁のバイオリンのうちメロディーを弾くことが多い第1バイオリン。隣に座る第2バイオリンのリン・ムさんは「僕は第1の伴奏をすることが多いけど、たまにメロディーを弾く。僕だって王子様になりたいから」と訴える。

 「私は二重スパイ」と明かすのは、ビオラのレン・マーティン=ドイケさん。「あるときはバイオリンと、あるときはチェロとばかり仲良くするの」。チェロのトマ・シャルトルさんは「僕は乗り物のエンジンのような役割で、みんなの音を支えてる」と説明する。

     ■

 4人が弾いた曲は、ロシアの作曲家アレクサンドル・ポルフィリェヴィチ・ボロディン(1833~87年)が50歳前後のときに書いた「弦楽四重奏曲第2番」の第1楽章。チェロと第1バイオリンが、交互にメロディーを奏でる掛け合いが美しい。

 まず冒頭だけを弾いた4人は「二つの楽器が会話をしているように聞こえない? この曲はボロディンが奥さんと田舎暮らしをしていた幸せな時期に書いたもの。だからチェロはボロディンを、バイオリンは奥さんを表してるんじゃないかな。二つのパートを入れ替えて弾いてもきれいだから、とても仲良しな夫婦だったんだろうなとイメージして弾いています」と紹介した。

 続いて約8分の第1楽章すべてを弾き始めると、子どもたち約30人はじっと集中。演奏後には「高い音、低い音、4人の楽器の音は全然違うのに、きれいな音がしてて良かった」などと感想を発表し合った。

     ■

 授業の組み立てに当たって、4人は文化・芸術活動を担う人材育成などを手掛ける財団法人「地域創造」(東京都)の専門家の助言を受けた。柳さんは「子どもたちが心の中で想像を膨らませられるよう、物語を考えることに時間を費やした。じっと聴いてくれ、素直な反応がうれしい」と笑顔だった。

 同小の音楽専科で3~6年を担当する北川麻由子教諭は「生の演奏で音の重なりを聴いてほしかった。子どもたちには最終的に『ネズミがチョロチョロしているように聞こえたのは、音が細かくリズムを刻んでいたから』というふうに、音楽から感じたことと、理由を整理して言えるようになってほしい」と話した。

 PACは団員有志による弦楽四重奏2グループのほか、木管五重奏と金管五重奏で各1グループを結成し、訪問希望校を公募。2017年度は応募があった全16校を手分けして訪問した。18年度も、県を通じて、公立の小学校と特別支援学校を対象に募集するという。

【兵庫芸術文化センター管弦楽団(PAC)】2005年に阪神・淡路大震災からの「心の復興」を掲げて開館した兵庫県立芸術文化センター(西宮市)の専属オーケストラ。指揮者の佐渡裕・芸術監督のもと、世界各国からオーディションで選ばれた35歳未満の若手奏者約40人が所属。人材育成の要素があり、団員の在籍期間は「最長3年」と定められている。同楽団TEL0798・68・0203

総合の最新
もっと見る

天気(11月15日)

  • 17℃
  • ---℃
  • 10%

  • 16℃
  • ---℃
  • 30%

  • 18℃
  • ---℃
  • 10%

  • 17℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ