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後遺症の原因欄に「自然災害」を追加した申請書類のモデル
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後遺症の原因欄に「自然災害」を追加した申請書類のモデル

 震度7を2度記録した熊本地震で心身に後遺症を負い、障害者手帳を取得した「震災障害者」が少なくとも29人いることが、被災自治体などへの取材で分かった。震災障害者は阪神・淡路大震災で初めて顕在化した。当事者を支える神戸市のNPO法人は「手帳取得は申請時の診断書などで地震の影響が読み取れる人らに限られている」と指摘。熊本地震の前震から14日で2年となる中、病院と行政が情報を共有し、実態を把握する必要性を訴える。

 熊本県や熊本市などによると、9人は建物の倒壊で足を切断するなど負傷した身体障害者で、20人はうつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患うなど精神疾患を負った。ただ、医師の所見欄に必ず原因が記されるとは限らず、同県の担当者は「(手帳申請から)実態を完全に把握するのは困難」とする。

 また、熊本市は障害者手帳を取得した23人について各区の地域支え合いセンターのスタッフが見守りや訪問活動で支援するが、NPO法人「阪神淡路大震災よろず相談室」(神戸市)の牧秀一理事長(68)は「対応は自治体間で温度差がある」と話す。

 こうした状況は東日本大震災の被災地でも同様だ。重傷者が出た14都県4政令市で、震災による身体障害者として把握できているのは岩手、宮城、福島の3県と仙台市が調査した113人にとどまる。「該当者なし」とする千葉県を除くほかの自治体は調査すら行っていない。

 1万683人が重傷を負った阪神・淡路では、15年後に兵庫県と神戸市が合同調査に乗り出し、349人の震災障害者が判明した。県は2013年に専用窓口を設置し、障害者手帳取得や年金相談などに応じる。

 一方、東日本の被災自治体で窓口を設ける動きはない。「震災を理由にほかの障害者と区別する必要はない」(岩手県)とするなど、従来の福祉サービスで対応する自治体が大半だ。

 厚生労働省は震災障害者把握が被災者支援に有意義との判断から昨年3月、障害者手帳の申請書類の原因欄に「自然災害」の選択肢を設けるよう都道府県などに通知。熊本や東日本、阪神・淡路の被災地ではほとんどの自治体が様式を変更済み、もしくは変更予定だが、東京都は「有益かどうか判断できない」として変更しない方針だ。

 牧理事長は「どのような支援を考えるかにあたり実態把握は不可欠。後遺症を抱え続ける震災障害者の苦しみに、行政はもっと目を向けてほしい」と呼び掛ける。(金 旻革)

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