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兵庫県内の自治体が定めた情報公開条例。請求権を住民や通勤、通学者らに限定する規定が散見される
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兵庫県内の自治体が定めた情報公開条例。請求権を住民や通勤、通学者らに限定する規定が散見される

 情報公開制度の請求権に制限を設けている自治体が全国で半数近く、兵庫県内で42自治体(県を含む)のうち20団体に上ったことを巡り、制限を設けている団体の多くが「知る権利」に配慮し、臨機応変に対応していると説明する。一方で「時代遅れだと分かっている」と打ち明ける担当者もいる。

 「情報公開請求が殺到して処理できなくなることを恐れて制限を付けたのだろう」。播磨地域のある自治体の情報公開担当者が「制度の趣旨に反する理由なのは分かっている」と断った上で明かした。

 この自治体では、情報公開条例の制定当初から、住民や通勤・通学者らに請求権を限定。実際の請求は、年間数件で推移しているといい、制度に対する苦情はない。担当者は「この情報化社会で時代遅れだと分かっているが、不都合が生じていない以上、なかなか改めづらい」と漏らす。

 県内の中核市で唯一、制限がある姫路市は、条件を満たす市民らは通常の「請求」で受け、それ以外は「申し出」として扱う。公開対象の文書などに差はなく、対応は実質的に同じという。

 ただ、「申し出」の場合は、開示内容に対する不服申し立てなどの手続きができない。担当者は「市としての説明責任が求められる対象は、あくまで市民らに限られるという考え方だ」とする。

 制限を設ける他の自治体は、理由について「書類を特定したり個人情報の部分を黒塗りしたりするのに手間がかかるため、市税を納付している市民らを還元の対象にしている」(西脇市)、「都市部と違って、幅広い方面からの公開請求が想定しづらい」(たつの市)などと説明する。

 制限がない兵庫県は「県政の説明責任は、県民にかかわらず、全ての人に対して果たすべき」との姿勢。一方で、市町への指導権限はないため、制度の内容はそれぞれの自治体の判断に任せているという。(小川 晶)

◆「知る権利」規制する恐れ

 【「全国市民オンブズマン連絡会議」事務局長の新海聡弁護士の話】 住民が居住地だけでなく、他の自治体の情報も知りたいと思うのは自然な発想だ。環境や災害、原発など広範囲に及ぶテーマもあり、行政区域で請求権を縛ると、憲法で定める「知る権利」の規制につながる恐れがある。

 制限に「利害関係」や「必要性」といった条件を加えれば柔軟に対応できるとの見方もあるが、自治体側のさじ加減一つで判断できることに変わりはない。情報公開の理由に踏み込むと、憲法の「思想・良心の自由」を犯す可能性もある。

 請求権の制限を超えた根本的な問題もある。加計学園の疑惑では、「首相案件」と記された愛媛県文書を、知事は「職員の備忘録」として情報公開の対象に当たらないと主張した。自衛隊の日報問題でも、公開請求で「不存在」だった文書が出てきた。

 制度の趣旨を考えれば、行政の事務に関わる全文書が公開対象となるのは当然のこと。国も含めた行政機関は、民主主義に必要不可欠な「インフラ」として、時勢によって解釈が変わらない仕組みをつくり、運用するべきだ。

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