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刀工の高見國一さんと完成させた「獅子王」の写し刀=兵庫県佐用町家内(撮影・小林良多)
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刀工の高見國一さんと完成させた「獅子王」の写し刀=兵庫県佐用町家内(撮影・小林良多)

 数奇な運命に翻弄(ほんろう)された日本刀が418年ぶりに“帰郷”する。朝来市和田山町にあった竹田城最後の城主・赤松広秀(1562~1600年)が所蔵していた「獅子王」だ。今は東京国立博物館が保管する名刀の写し刀が完成し、22日、竹田城跡に奉納される。復活に一役買ったのは「刀剣女子」と呼ばれる女性たちだった。(長谷部崇、木村信行)

 獅子王は平安時代、源頼政が天皇から賜ったとされ、代々、赤松家に伝わっていた。

 広秀は関ケ原の戦いで西軍に付き敗走。その後、東軍の鳥取城攻めに加わるが、城下町を焼き払ったとして徳川家康に切腹を命じられた。竹田城は廃城となり、獅子王も没収された。

 明治になって皇室に献上され、現在は同博物館が保管。国の重要文化財に指定されている。

 名刀の「悲劇の物語」に着目したのは、朝来市などが運営する異業種交流会「ASAGO大学」に参加した姫路市のNPO法人理事長、崎谷健さん(43)。

 文献を調べ、無念の死を遂げた広秀の名誉を回復しようと2015年、「獅子王復活プロジェクト」を提案。翌年、インターネットのクラウドファンディングで資金集めを開始した。

 目標300万円。だが100万円で頭打ちに。募集期限まで残り1カ月を切った頃、立ち上がったのが全国に散らばる刀剣女子だ。

 戦国時代を舞台にしたアニメやゲームをきっかけに日本刀に興味を抱いた女性らが、ツイッターで情報を拡散。人気ゲーム「刀剣乱舞」には獅子王を擬人化した男性キャラクターがおり、復活プロジェクトで作る写し刀を「獅子玉(ししだま)」と愛称で呼ぶと、「かわいい」「完成したら絶対見に行く」と支援の輪が広がった。

 最終的に全国の379人から381万円が集まり、寄付者の8割が20~40代の女性だった。

 刀剣作りを担ったのは、兵庫県佐用町に鍛刀場を構える高見國一さん(45)。刀剣の全国大会「新作名刀展」で特賞を7回獲得した刀匠だ。

 崎谷さんらと東京国立博物館を訪ね、獅子王を実測し、感触を確かめた。

 「獅子王が作られた平安末期は、直線的な刀剣から湾曲した日本刀へと変貌を遂げていく時代。獅子王は既に洗練された姿で、当時の最高峰の技巧者が生み出したものだろう」と高見さん。昨夏から約3カ月かけて忠実に再現し、今年3月、研ぎ上がった。

 支援した「あさご元気産業創生センター」(朝来市)の吉澤正美センター長(66)は「龍野城のあるたつの市など、赤松氏ゆかりの地でもお披露目したい。地域交流のツールとして活用できれば」と期待する。

 22日午後0時半から竹田城跡麓の虎臥城(とらふすじょう)公園で奉納式があり、その後近くの土蔵で公開する。同センターTEL079・672・2816

 【獅子王と赤松広秀】 源平盛衰記によると、平安時代に京を騒がせていた妖怪「鵺(ぬえ)」を退治した源頼政が天皇から褒美として賜った太刀。広秀まで赤松家が代々受け継いだとされる。広秀は竹田城主として養蚕や漆器業を奨励し、学問にも造形が深く、領民から「仁政の主君」と慕われたという。

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