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旧優生保護法に関する電話相談を受け付ける弁護士=神戸市中央区、兵庫県弁護士会分館
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旧優生保護法に関する電話相談を受け付ける弁護士=神戸市中央区、兵庫県弁護士会分館

 旧優生保護法下での障害者らへの不妊手術問題で、国による実態調査や救済に向けた動きが加速する中、「県民運動」として不妊手術を促してきた兵庫県が対応に消極的だ。厚生労働省の資料では、県内で294人が同意のない強制手術を受けたとされるが、県は「その数字の根拠すら分からない」と歯切れが悪く、相談窓口の設置にも慎重な姿勢だ。

 この問題を巡っては、宮城県の60代女性が1月、不妊手術を強いられたとして国家賠償請求訴訟を起こした。厚労省は都道府県や全市町村、医療機関への調査を始める方針で、国会では議員立法による救済法案の提出を目指す動きもある。

 兵庫県によると、手術記録について庁内の倉庫を調べ、公文書の管理を統括する県文書課に問い合わせもしたが、発見できなかった。記録には保管期間があったとみられ、廃棄された可能性が高いとする。

 厚労省は旧法下で都道府県から報告を受けた数字をまとめたとしているが、兵庫県健康増進課は「国からの照会に回答した経緯も残っていない。通常、記録は保管期間を過ぎれば廃棄されてしまう」と説明する。

 兵庫県は全国に先駆けて1966~74年に「不幸な子どもの生まれない県民運動」を独自に展開。強制不妊手術の費用負担を行い、72年からは羊水検査による出生前診断を導入したとされる。同課によると、これらに関連する公文書も残っていないという。

 一方、県外では手術を受けた個人を特定する資料が見つかっている。強制手術が2593件と突出している北海道では、少なくとも男女1314人の名前が判明。共同通信のまとめでは20日現在、29道府県で4038人分の個人名記載の資料が確認されている。

 兵庫県は「本人が手術を受けたと申告しても記録がなく確認できない」と相談窓口設置にも後ろ向きだ。ただ、同様に資料が見つかっていない栃木県は「県民に対応する必要がある」と窓口を設けたという。

 視覚障害があり、宮城県の女性の訴訟を支援する「自立生活センター神戸Beすけっと」(神戸市長田区)の藤原久美子事務局長(54)は「終わった問題ではない」と強調。「兵庫県は民間の病院や施設に調査や資料保全を求める必要がある。その依頼もせずに『記録がない』とすることに不信感がある」と訴える。(田中宏樹)

■弁護団が電話相談窓口

 兵庫県弁護士会所属の弁護士約10人は3月下旬、旧優生保護法下で強制不妊手術を受けた人の救済に向け弁護団を結成した。電話相談も始め、19歳で手術を強制された70代女性から被害実態を聞いたという。

 弁護団では、聴覚障害のある神戸市内の70代男性の被害も把握。藤原精吾団長(76)は「『障害のある人は不幸』という優生思想は根強い。そんな社会を変えていく意味でも問題の解決が必要だ」と力を込める。

 電話相談は毎週火、木曜の午後1~4時。TEL078・362・0074(同弁護士会内)

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