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悪性胸膜中皮腫で亡くなった男性の仏壇に手を合わせる妻。「いつも一緒だったから、骨つぼにも一緒に入りたい」と遺骨は置いたままだ=兵庫県内
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悪性胸膜中皮腫で亡くなった男性の仏壇に手を合わせる妻。「いつも一緒だったから、骨つぼにも一緒に入りたい」と遺骨は置いたままだ=兵庫県内

 「アスベスト(石綿)と自分たちの生活は全く結びつかなかった」。阪神・淡路大震災の救護活動中に吸引した石綿が原因だったとして、男性元警察官の死亡が公務災害と認定された。遺族が神戸新聞社の取材に応じ、中皮腫発症時の戸惑いや、申請中に亡くなった無念を語った。専門家は、震災業務で中皮腫や肺がんなどを患った警察官や消防隊員らは他にもいる可能性があるとして調査や対策の必要性を指摘する。

 コン、コン-。元警察官がせきを始めたのは2013年夏ごろ。近くの病院で肺炎と診断され、治療を受けても止まらなかった。受診を勧められた兵庫県立がんセンターで、付き添った妻は青ざめたという。

 レントゲンに写った肺は真っ白。石綿の吸引による中皮腫と告げられたが、12年までの10年間は再就職先の企業の事務職をしており、思い当たる節はなかった。

 「数十年を経て発症する」と医師から言われ、夫婦ではっとした。18年前の阪神・淡路大震災。「県警で応援部隊として長田区に派遣され、がれきの中を歩き回った」

 14年4月に公務災害を申請した後、闘病で体力は衰え、車いす生活になった。5カ月後、「息が苦しい」と訴え、病院に向かう途中に亡くなった。

 認定は申請から4年後。妻は「忘れた頃に自宅に電話があった。生前、夫は『どんな仕事にも危険は付きまとう』と話し、震災業務への恨みは何一つ言わなかったが、天国ではもやもやした気持ちが晴れて、ほっとしているんじゃないか」と話した。

   ◇

 国土交通省などによると、石綿は06年に使用や輸入が全面禁止されたが、それ以前は家屋などの建材に多用されていたという。

 「中皮腫・じん肺・アスベストセンター」(東京)の永倉冬史事務局長(64)は「阪神・淡路の被災地では当時子どもだった人を含めて発症の時期を迎えている」と指摘。環境省は、兵庫県内では神戸、尼崎、西宮、芦屋、加古川の5市と連携して石綿の健康調査を進めており、積極的な参加や受診を呼び掛ける。

 将来の自然災害に向けても警告する。「古い建物が壊れれば今でも吸引する危険がある。被災地で業務に当たる警察や消防、自衛隊は防じんマスクを備蓄し、不足する場合は広域から提供を受けられる仕組みをつくる必要がある」

(石川 翠、小林伸哉)

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